弘前大学人文社会科学部の日比野愛子教授と東京大学大学院情報理工学系研究科の竹内昌治教授らの研究グループが、日本、シンガポール、オーストラリア、デンマーク、イタリアの5カ国で培養肉に関する国際比較調査をしたところ、安全性が保証され、牛肉並みのおいしさがあるなら各国で5割以上が「培養肉を食べてみたい」と答えた。研究結果は8月末に東京都内で開かれた第6回細胞農業会議、日本社会心理学会第65回大会で発表された。
弘前大学によると、調査は2023年12月と2024年2~3月に5カ国の20歳から59歳までの男女計4,416人を対象にインターネット経由で実施した。その結果、培養肉を試しに食べてみたいかどうかについては、日本で32%、シンガポールで60%、オーストラリアで44%、デンマークで41%、イタリアで54%が「全くそう思う」、「ややそう思う」と答えた。
食べる培養肉の安全性が保証され、牛肉並みのおいしさがあるという条件を付けたところ、「全くそう思う」、「ややそう思う」との回答が、日本で50%、シンガポールで66%、オーストラリアで51%、デンマークで57%、イタリアで64%にはね上がった。
培養肉は動物の細胞を体外で培養して作る人工肉。途上国の人口爆発で食糧危機が起きるのに備え、各国で研究が進んでいる。培養肉が世界の食糧危機を解決すると考える人は、日本で46%、シンガポールで49%、オーストラリアで32%、デンマークで42%、イタリアで38%に上った。