電気自動車と自動運転について集中して学び研究を行う電動モビリティシステム専門職大学(山形県飯豊町)は、諸般の事情により、2025年度入学者選抜による全ての学生募集を行わないことを決定した。
電動モビリティシステム専門職大学は、2023年4月に開学した。電気自動車システム工学部 電気自動車システム工学科が設置され、電気自動車システム全体やその構成要素である「電池」「モーター・インバータ」「車体」「自動運転」が学べる。山形県西置賜郡飯豊町のキャンパスには教育棟、実習棟、研究棟、テストコースを備える。飯豊町は、2013年よりリチウムイオン電池を軸とした産学金連携プロジェクト「飯豊電池バレー構想」を始動している。人材育成と、交流人口の拡大と、雇用の創出を狙っており、電動モビリティシステム専門職大学は、人材育成の部分を担っていた。
しかし入学定員40名・収容定員160名のところ、2023年度の入学者が3名、2024年度入学者は2名と思わしくなかったことが、今回、学生募集を停止する一番の要因だという。
設置主体である学校法人赤門学院理事会において、経営改善策や大学を誘致した山形県飯豊町の協力を得ながら他法人への承継などについてギリギリまで模索したものの、有効な打開策が見いだせず、法人理事長が募集停止の最終決断を下した。現在在学中の学生が卒業するまでは責任を持って教育を継続し、就職に関してもサポートを続ける。なお、在学生及び保護者への説明会はすでに実施した。
電動モビリティシステム専門職大学が文部科学省に提出した「学生の確保の見通し等を記載した書類」によると、開設前に行った意識調査(高校2年生9060人回答)では、4年制大学(専門職大学を含む)に進学を希望する者が5697人で、うち同大学に受験意欲を示したのが675人となっている。この675人に絞って入学意向を調べると、「合格した場合、入学したい」77名、「合格した場合、併願先の結果によって入学したい」527名となったことから、入学定員40名に対して十分に学生確保できる見通しを立てていた。
参考:【電動モビリティシステム専門職大学】令和7年度入学者選抜学生募集の停止について
【文部科学省】大学等の設置認可申請書類等の公表ページ