新潟大学らの研究グループは、世界初の試みとして、プロテオームの再解析を念頭に置いたメタデータを収集するデータジャーナルを創刊した。
タンパク質の集合体を指していうプロテオームの再解析を正確に実施するためには、そのデータの属性(どの生物種か、試料はどのように採取し処理したか、測定ではどのようなパラメータを用いたか、など)を説明する多くのメタデータが重要となる。しかし、プロテオームのデータをデータベースに収録するに当たっての詳細なメタデータの収集は困難で、海外でも大きな問題として手付かずに近いという。
そこで、新潟大学、京都大学、熊本大学、北里大学、および情報・システム研究機構が共同して開発と運営を進めるjPOST(Japan Proteome Standard Repository/Database)は、データの寄託者自身が詳細なメタデータを投稿するための仕組みを検討した。そして、日本プロテオーム学会との協力の下、「メタデータの専門論文」を扱うデータジャーナル「Journal of Proteome Data and Methods(JPDM)」を創刊した。
これにより、研究者はデータを寄託すると共に、JPDMにデータ論文を投稿することで、業績が論文として増加するため、研究者側にも詳細なメタデータを投稿するインセンティブが生じる。また、メタデータ記入フォーマットであるJPDMフォーマットで記述されたメタデータは、(半)自動で再解析できるといい、個々の研究者とjPOSTの双方にメリットがある世界初のシステムとなりつつあるという。
今後は、大量のデータ処理に対応できるシステムを整え、jPOST以外のリポジトリに収録されたデータのメタデータもJPDMに論文掲載できるよう、国際化を推進していく。ひいては、世界最大のプロテオーム・データベースの構築を目指す。