沖縄本島に生息する絶滅危惧鳥種のヤンバルクイナの消化管内に車のタイヤゴムやガラス製の反射材が蓄積していることを、熊本大学大学院先端科学研究部の中田晴彦准教授、琉球大学理学部の小林峻助教、環境省沖縄自然事務所の椎野風香自然保護官、沖縄県立衛生環境研究所の宮城俊彦元所長らの研究グループが見つけた。
熊本大学によると、研究グループは沖縄本島で交通事故死したヤンバルクイナ42羽を調べたところ、24羽の消化管から微小な黒色片、全体の2割から直径1ミリ以下の透明球体があった。分析した結果、黒色片は車のタイヤ、透明球体は路面標示塗料に使用されるガラス製反射材と分かった。
これら人工物の発見レベルは国内外で進められている他の陸棲鳥類に比べて高く、消化管から複数のタイヤ摩耗片が見つかっていることは世界的に珍しいという。
研究グループがヤンバルクイナのえさになるカタツムリやミミズを調べたところ、その大部分から同じ黒色片と透明球体が検出された。研究グループは車の走行で路面標示塗料とタイヤの摩擦で生じた黒色片と透明球体が雨水などで側溝に堆積し、それを誤食したミミズなどをヤンバルクイナが捕食したとみている。
ヤンバルクイナは沖縄本島北部に生息するほとんど飛べない鳥で、全長35センチ程度。沖縄県のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に指定されている。研究グループはタイヤに添加しているさまざまな化学物質が今後、ヤンバルクイナに影響を与える可能性があるとして調査研究の必要性を訴えている。