日本体育大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学武蔵小杉病院、君津中央病院、千葉市立海浜病院、東京大学の研究チームが、関東42病院が参加した大規模共同研究のデータを使用して病院外で心停止に至った症例に対し、市民が心肺蘇生を行った結果を調べたところ、脳に重い後遺症を残さず回復できた割合が倍増していることを突き止めた。
学校法人慈恵大学によると、2019年9月から2021年3月にデータベースに登録された2,772の症例のうち、心肺蘇生が行われなかった人の1カ月後の生存率は6.8%で、脳に重い後遺症を残さず回復できた割合は3.0%にとどまった。
これに対し、非医療従事者で救命講習を受けていない一般市民が119番通報時に口頭指導を受けながら心肺蘇生を行った場合、1カ月後の生存率が14.2%、脳に重い後遺症を残さず回復できた割合が7.4%に倍増した。
さらに、救命講習を受講した一般市民が心肺蘇生したケースでは、1カ月後の生存率が27.5%、脳に重い後遺症を残さず回復できた割合が25.6%にはね上がった。
日本では病院外で心停止する人が年間約10万人いる。研究チームは心肺蘇生の効果を最大限に発揮するには、救命講習をより多くの人が受講し、分かりやすく適切な口頭指導ができる体制の構築が欠かせないとしている。