東京工科大学(東京都八王子市)は、日本の私立大学として初めて、NVIDIA(エヌビディア)の最新AIスーパーコンピューター「DGX B200」を導入し、国内私立大学最大規模となるAIインフラを構築する。本格稼働は2025年10月を予定しており、独自の大規模言語モデル構築やAI Ethics(AI倫理)の実践を含むAI教育を全ての学生に提供し「AI大学」構想を大きく加速させる。
「DGX B200」は、NVIDIAの最新GPUアーキテクチャ、NVIDIA BlackwellおよびNVIDIA AI Enterpriseソフトウェア プラットフォームを搭載。生成AIや大規模言語モデルなど、計算負荷の高い最新のAIワークロードに対して圧倒的なパフォーマンスを提供する。
東京工科大学は「DGX B200」を12台導入してNVIDIA Quantum InfiniBandの高速ネットワークで接続し、NVIDIA DGX BasePODリファレンス アーキテクチャに基づいてスパコンを設計。システム全体のAIの学習理論性能(FP8)が0.9EFLOPS(1秒間に90京回の計算)に達する、私立大学最大のAIスパコンを学内に常設する。
東京工科大学はNVIDIAの日本法人と2023年に学術交流連携を締結。「NVIDIA 学生アンバサダープログラム」では、東京工科大学の学生がNVIDIA社員のサポートを受けながら生成AIやロボティクス、デジタルツインのテクノロジーを習得している。
今後、AIスパコンの導入により、「AI活用人材の実践育成プログラム」「学内専用LLM(大規模言語モデル)の構築と活用」など、プロジェクトや研究での活用を予定している。教育面では、学生が次世代のAI社会に対応できる実践的なスキルを習得するための環境整備を進め、研究面では、最先端のAI技術や高性能計算資源を活かした高度な課題解決を目指す。
現在、東京工科大学では生成AIをはじめとする最新のデータドリブン型アプリケーションを学べる環境を整えているだけでなく、デジタルツインを活用した産学連携プロジェクトや、シミュレーション技術の高度化に取り組む実践的な場も提供している。AIテクノロジーセンター・ICT部門長の生野壮一郎教授は今回のスパコン導入について「計算資源の制約にとらわれることなく、大規模データと高性能な計算環境を活用しながら学び続けられるようにすることが、世界で活躍できる優秀なAI人材の育成につながると確信している」と語っている。