海洋研究開発機構、神戸大学などの研究グループは、月が原始地球のマグマオーシャンと呼ばれるマグマの海から作られた可能性があることを突き止めた。

 月は、46億年前に起きた、地球ともうひとつの天体の衝突によって生まれたと考えられている。この巨大衝突仮説では、現在の地球と月の様々な特徴を説明できるものの、アポロ計画で月から持ち帰った岩石に含まれる様々な元素の同位体比測定結果とは矛盾が報告されている。巨大衝突仮説のコンピュータシミュレーションでは、月の材料はぶつかってきた側の天体になると予想されていたが、月の岩石の観測結果は地球のものとほぼ一致したのだ。

 この矛盾を解決する要素として、本研究グループはマグマオーシャンに着目した。原始の地球の表面を覆っていたとされるマグマの海の効果を加味することで、巨大衝突のシミュレーション結果が変わることが予測された。

 研究グループは、従来の標準的な巨大衝突仮説に基づくモデルを改良し、原始地球にマグマオーシャンがあるという仮定の下での巨大衝突のコンピュータシミュレーションを世界で初めて行った。その結果、マグマオーシャンが月の形成に大きく寄与することがわかった。様々な衝突角度及び速度で調べても、マグマオーシャンが存在する場合、月の材料になる物質のうち、原始地球由来の物質の割合が大きくなることが示された。すなわち、従来のシミュレーションで指摘されていた「地球と月の同位体比問題」という矛盾が、マグマオーシャンの存在によって解決可能であることが示唆された。

 本研究結果は、これまで考えられてきた初期地球とは違う結果をもたらすものであり、現在の地球がどのように形成されたかを知る上での大きな手がかりとなると考えられる。

論文情報:【Polymer】Controlled water-soluble properties of poly(vinyl alcohol) films via the benzoxaborole-containing temperature-responsive copolymers

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