2019年11月26日、国立情報学研究所は国際シンポジウム「CANDAR2019」で、未来のスーパーコンピュータのネットワーク構成を発見するコンペ「グラフ ゴルフ2019」の表彰式を行った。受賞したのは
理化学研究所の中尾昌広氏と関西大学の酒井真章氏・花田良子氏によるTeam RKと、電気通信大学の寺尾創氏。
このコンペはスパコンなどに用いる複雑なネットワーク構成を簡単なグラフで表し、CPUチップ内・CPUチップ間のネットワークの効率的設計につながる単純な構成のグラフの発見を競うもの。
最近のスパコンは、最大で1千万以上のプロセッサーコアが相互接続されている。効率的なネットワーク構成(ネットワークトポロジー)の設計は、その処理能力に大きく影響する。本コンペでは、コアを「頂点」、コアとコアをつなぐ配線を「辺」とみなし、ネットワークトポロジーを達成するグラフを構成した。一つの頂点から最も離れた頂点までのホップ数(経由した辺数)を「直径」、各頂点間のホップ数の平均値を「平均パス長」と呼び、指定条件で直径と平均パス長が最も小さいグラフを発見する問題を設定した。
5回目の本コンペは4月~10月に実施、国内外から多数の応募(1,382件)があった。その結果、平均パス長の計算が困難な頂点数100万の巨大グラフを含む一般グラフの出題5問、格子グラフの全出題11問で、理論上最小の直径を持つグラフが発見された。中尾氏らのチームは格子グラフの11出題、寺尾氏は一般グラフの5出題で、各々平均パス長が最も小さいグラフ計16パターンを発見した。
これらのグラフは、次世代のスパコンの超並列計算の通信時間の最小化など、実用への応用が期待されている。
参考:【国立情報学研究所】効率的なスパコン設計につながるグラフ発見を競うコンペ「グラフ ゴルフ」で理論上最小の直径を持つグラフを16パターンで発見~次世代スパコンの計算時間の最小化などの応用に期待~