3Dプリンターで簡単に製作でき、動力を必要としない人工呼吸器の部品を国立新潟病院と広島大学などの研究グループが開発した。新型コロナウイルスの感染が拡大しているだけに、人工呼吸器が不足する医療現場で力を発揮しそうだ。現在、研究加速のため寄付を募っている。

 国立新潟病院によると、同病院の石北直之脳神経筋病態生理研究室長が中心になって開発を進めた。開発した部品は酸素ボンベと気道に通す管の間に取り付け、内蔵したらせん状のばねの力で患者の呼吸を助ける。電気がない環境でも使用できるのに加え、3Dプリンターさえあれば宇宙空間などどんな場所でも簡単に製作が可能になる。製作時間は8時間ほどで済む。

 共同研究には医療機器メーカーのニュートンが参加しており、実用化研究が終了して医療機器認証を受けたあとは、すぐに製造販売を始められる見込み。研究チームは政策に必要なデータの無償提供を予定している。

 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が続くイタリアでは、人工呼吸器の不足が医療現場の大きな課題になっている。今後、感染がアフリカなど途上国に広がれば、より深刻な人工呼吸器不足が予想されるだけに、実用化されれば医療現場の大きな力になると期待されている。

 現在、本人工呼吸器モデルは長時間耐久テストの様子を動画で公開している。また、研究加速のため寄付を受け付けている。詳細は下記参照のこと。

参考:【国立新潟病院】宇宙電送と無重力環境下での動作試験にも成功した「3Dプリント人工呼吸器モデル(3D Printable Ventilator model)」に関する情報提供および実用化プロジェクトについて(PDF)

【YouTube】【公開実験】宇宙電送と無重力環境下での動作試験にも成功した「3Dプリント人工呼吸器モデル(3D Printable Ventilator model)」

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