政府は2018年の著作権法改正で創設が決まっていた授業目的公衆送信補償金制度の施行を前倒しし、2020年4月28日からスタートさせる政令を閣議決定した。施行により、大学などのオンラインによる遠隔授業で著作物を使用する際、個別に許諾を得る必要がなくなり、著作物の円滑な利用が可能になる。

 文化庁によると、授業目的公衆送信補償金制度は学校の設置者が各分野の権利者団体で構成される指定管理団体に一括して補償金を支払う仕組み。指定管理団体の授業目的公衆送信補償金等管理協会から文化庁長官へ補償金額の認可申請、文化審議会での審議、文化庁長官の認可を経て施行される。

 2020年度に限り、補償金額を特例として無償とすることが、授業目的公衆送信補償金等管理協会で決定されているが、2021年度以降は有償となる。著作権の教育利用に関する関係者フォーラムで運用指針の議論を進めたうえで、授業目的公衆送信補償金等管理協会が有償での認可申請をする準備を進めている。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、対面授業から遠隔授業へ切り替える大学が増えているが、遠隔授業で著作権がある文章などを利用するには、その都度著作者の許諾を得る必要がある。これでは手続きが煩雑で、円滑に遠隔授業を進められないことから、大学の間で授業目的公衆送信補償金制度の早期施行を求める声が上がっていた。

参考:【文化庁】授業目的公衆送信補償金制度の早期施行について

大学ジャーナルオンライン編集部

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