東京大学病院は新型コロナウイルスに感染し、肺炎を発症した患者に対し、急性膵炎治療薬の「フサン」と新型インフルエンザ治療薬の「アビガン」を併用する特定臨床研究を始めた。新型コロナ感染症の治療法確立に向け、期待の声が上がりそうだ。

 東京大学によると、研究対象となる新型コロナ感染患者は20~74歳の肺炎発症者で、東京大学病院に加え、東京都内の国家共済員共済組合虎の門病院、東京医科歯科大学病院など6施設で臨床研究をスタートさせ、参加施設を順次追加する。

 フサンは新型コロナがヒトの細胞に侵入するのを防ぐ可能性を持つとする研究成果を東京大学医科学研究所が発表しているほか、血液が固まるのを防ぐ効果を持ち、新型コロナ重症者に多い血栓発症の予防にも期待されている。アビガンは細胞の中でウイルスの遺伝子の複製を防ぐ新型コロナ治療薬の有力候補として、複数の特定臨床研究が進められている。

 研究チームはフサンとアビガンはウイルスの増殖過程で作用する部分が異なるため、併用することによって効果が高まるとみている。このため、患者をフサンとアビガンの双方を投与するグループと、アビガンだけを投与するグループに分け、最長2週間の投与で効果と安全性を比較する。

 フサンは日医工、アビガンは富士フィルム富山化学から無償提供を受け、それぞれの薬剤に関する安全性情報の提供を受ける。

参考:【東京大学】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療法の早期確立を目指す

東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。