中央大学の山口真美教授、日本女子大学の金沢創教授、東京大学の本吉勇准教授の共同研究で、生後3カ月から4カ月の乳児が5カ月以降には見られなくなる特別な視覚世界を持っていることを明らかにしました。このため赤ちゃんは大人が無視してしまうような細かな変化に気が付くことができると言います。

 成人は物体を安定して認識できるように、見る角度や照明環境の違いによる見え方の細かな変化を無視する能力が備わっています。例えば、照明が光沢がある物体の表面に映り込む際、その角度が変化しても成人は容易には気づくことができません。これに対して乳児ではどうかということを調べるために、生後3カ月から8カ月の赤ちゃんを対象に実験を行いました。

 実験は乳児が持つ選好注視法という方法で行いました。乳児は顔など特定の図形パターンを好んで長く見ることが分かっています。これを利用して複数の写真への注視時間を比較することで、乳児が光沢の有無の変化に気が付くか、照明の映り込みの変化に気が付くかを検討しました。その結果、物体表面の光沢の変化は7から8カ月で認識可能になっていることが分かりました。一方で、照明環境の変化については5カ月以降では認識できないのに対して、3から4カ月の乳児は認識していることが明らかになりました。

 この結果は赤ちゃんが特殊な視覚世界でものを捉えていることを示しています。これは世界で初めての成果です。赤ちゃんは大人が思う以上に細かな変化に気が付き、より変化に富んだ不思議な世界を見ているのかもしれません。

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