九州大学発のベンチャー企業・KAICO株式会社は抗体検査サービスのプロテックスと共同し、新型コロナウイルスの抗体検出キットを開発した。プロテックスはこの抗体検出キットを用いた法人向けの抗体検査サービスを近く始める。

 KAICOによると、九州大学農学研究院の日下部宜宏教授の主導で新型コロナのスパイクタンパク質三量体の抗原開発に成功し、複数の抗体と結合することを確認した。この成果を基にプロテックスと共同で抗体検出キットを開発した。

 抗体検査サービスは日本感染症学会が推奨するスパイクタンパク質を用いた抗原サンドイッチELISA法という方式で行われ、一般的な方式と比べてより感度が高く、検査結果が安定するという。12日からサービスが開始される予定。

 新型コロナの終息時期はまだ不明だが、経済活動の再開と維持が大きな課題に浮上しているだけに、従業員の感染履歴を把握することが職場の感染対策として重要になっている。将来、ワクチンが実用化された際にも、抗体保有の有無を事前に把握していれば、誰がワクチン接種を必要とするかが分かる。

 近年の創薬市場では、バイオ医薬品と呼ばれるタンパク質製剤が中心になり、治療薬がなかった疾病に効果を上げている。九州大学はカイコを使って新たなバイオ医薬品となるタンパク質を低コストで生産する技術を構築している。

参考:【KAICO株式会社】新型コロナウイルス抗体検出キットを研究用試薬として完成

大学ジャーナルオンライン編集部

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