東京大学は大学債の「第1回国立大学法人東京大学債券」の発行条件を決めた。研究力強化のために200億円を調達するのが目的で、2020年10月16日から発行を始める。国立大学法人が大学債を発行するのはこれが初めて。

 東京大学によると、債権の愛称は「東京大学FSI債」。ソーシャルボンド(※1)と呼ばれる社会貢献債に該当する。期間40年で、利回り0.823%。大和証券など証券大手3社が主幹事となり、三井住友銀行が受託会社になる。

 東京大学は調達した資金を岐阜県飛騨市神岡町にある素粒子観測施設「カミオカンデ」「スーパーカミオカンデ」の後継施設となる「ハイパーカミオカンデ」の整備や、キャンパス整備、研究力強化などに充てる計画。今後、10年間で1,000億円規模の資金調達を検討している。

 債券発行が公表された当日に飛騨市をはじめ、朝日生命、ダイキン工業、JA西美濃、吉本興業ホールディングスなど企業、地方自治体、農協、宗教法人などが購入を表明し、既に完売状態になっている。このうち、飛騨市は東京大学の若手研究者育成のため、ふるさと納税の一部を寄付してきたが、さらに東京大学を支援しようと購入を決めた。

※1 ソーシャルボンド 開発途上国支援や地球環境対策など世界的な社会問題解決に充てる目的で資金調達する債権

参考:【東京大学】ソーシャルボンド「東京大学FSI債」の発行について
【岐阜県飛騨市】飛騨市は「東京大学債」購入で東京大学を支援します

大学ジャーナルオンライン編集部

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