東北大学の研究グループは、精子が集まって泳ぐことで遊泳の速度と効率が高まる協調遊泳の効果を明らかにした。

 精子は受精を達成するために、体長の約3000倍もの距離を泳がねばならない。今回、本研究者らは、運動する精子と精子の間に働く流体相互作用を力学法則に基づくシミュレーションで解析した結果、精子が複数集まって泳ぐ(協調遊泳する)ことで、速く効率的に泳げることを発見した。

 これは、精子が泳ぐことで作られる「液体の流れ」が、他の精子の運動を後押しする形となり、互いに遊泳を高め合う効果が得られるもので、精子が多数いる方が、精子運動が高まる結果、受精の確率が向上することがわかったという。長距離を速く確実に走破して受精を達成するために、精子が互いに助け合って泳ぐという自然のメカニズムを初めて明らかにした成果だ。

 不妊に悩むカップルの約半数は男性側に原因があるといい、近年、男性由来の不妊(男性不妊症)の検査、治療の重要性も増してきている。原因の一つである乏精子症の状態では、運動性は良好でも精子数が少ないことで受精の確率が減ると考えられてきたが、本研究により、精子の数が精子の運動性にも影響を与えていることが判明した。

 一方、精子数が少ない状態でも密度が高まれば協調遊泳効果は得られるため、乏精子症患者の精液でも、協調遊泳を利用して精子運動を高めることができる可能性も示唆された。これにより、乏精子症患者における不妊治療法の開発がさらに進展することが期待できる。

論文情報:【Physics of Fluids】Elasto-hydrodynamic interaction of two swimming spermatozoa

東北大学

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