東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故から2021年3月で10年。関西学院大学災害復興制度研究所の斉藤容子主任研究員・准教授らが原発事故で避難した住民の家庭環境、健康状態などを調べたところ、収入や雇用状況が悪化し、生活に対する満足度も低下していることが分かった。故郷への帰還希望者は26%にとどまっている。

 調査には関西学院大学災害復興制度研究所のほか、兵庫県立大学、川崎医療福祉大学、避難者支援団体の「まるっと西日本」、「ほっと岡山」の研究者、ボランティアらが参加、7月から9月にかけて原発事故で避難した人4,876人に調査票を送り、うち694人から回答を得た。

 それによると、震災前と2019年の収入を比較したところ、年収が300万円未満だった人が震災前の2割強から4割弱に増えるなど、年収300万~2,000万円以上の人が減少し、無収入から300万円未満の人が増加した。雇用状況は非正規雇用やパート、アルバイト、無職の割合が震災前の4割強から6割強に増えている。

 避難先で「何か困ったときに助け合う親しい人がいる」と答えた人は19%にとどまり、震災前の52%から大幅に低下、避難先で孤立しているケースが目立つ。生活に対する満足度も仕事や健康状態、住宅など多くの点で低下している。

 住民票の所在地は自主避難者の9割弱が避難先に移している一方、強制避難を余儀なくされた避難指示解除区域の7割弱がもとの住所に残したままで、避難先で行政の支援を十分に受けられない不安がある。福島県出身者のうち、将来的な帰還については「戻るつもりだ」と回答した人が26%しかなく、65%が「戻るつもりがない」と答えている。

参考:【関西学院大学】「原発事故で避難された方々にかかわる全国調査」に関する記者会見

大学ジャーナルオンライン編集部

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