東京大学大学院農学生命科学研究科の中西友子特任教授らの研究グループが、東日本大震災に伴って発生した福島第一原子力発電所の事故で、周辺の農畜産物へどのような影響が出たのかを書籍にまとめた。タイトルは「Agricultural Implications of the Fukushima Nuclear Accident(福島原発事故の農業への影響)」。国際的な出版社のシュプリンガーから出版された。

 東京大学大学院農学生命科学研究科では、40~50人の教員が2011年の事故直後から放出された放射性物質の動態調査を始め、現在も活動を続けているが、土壌、動物、植物、森林など幅広い分野の専門家が膨大なデータを集約し、農畜産物の汚染レベルが時間経過とともにどう変化したのかまとめた。

 放射性物質が農作物に入るルートや、土壌や木、水など異なる環境の間での放射線の動きも明らかにしている。さらに、農作物の放射線検査、農畜産物生産現場での除染活動、野生動物や鳥、樹木、キノコ、材木の汚染状況、森や水田での放射性物質による汚染分布の変化、林業や漁業の損害、消費者心理の変化なども報告している。最終章では土壌や植物内のセシウムの動きを可視化する最先端技術「リアルタイム・ラジオアイソトープ・イメージング・システム」について紹介している。

 中西友子特任教授は「放射性物質の現場での動きをデータとして体系的に示した。農業への影響を理解しようとする研究者に手に取ってほしい」とのコメントを発表した。

東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。