タンニン酸を配合した入浴剤が、アトピー性皮膚炎患者の痒み抑制に有効であることを、広島大学と株式会社バスクリンが共同研究により実証した。

 汗は、アトピー性皮膚炎に対して悪化因子として作用する。一方、植物成分の一種であるタンニン酸は、汗中の抗原(アレルギーの原因物質)を中和し、ヒスタミン遊離を抑制することによって、アトピー性皮膚炎の痒み軽減に優れた効果を発揮する。

 これまで、タンニン酸の水溶液を皮膚にスプレーすることにより痒みを軽減できることが確認されていたが、今回、日常の入浴を通して手軽にアトピー性皮膚炎患者の痒みを軽減できれば、という考えから、本グループは、「タンニン酸を配合した入浴剤」の効果を検証する研究を実施した。広島大学皮膚科外来を受診しているアトピー性皮膚炎患者に協力してもらい、「タンニン酸配合入浴剤」と「タンニン酸を配合しない入浴剤」を、どちらか分からない状態で各々2週間ずつ使用してもらい(ランダム化二重盲検クロスオーバー試験)、痒みの自覚症状を評価してもらった。また、医師には、臨床症状をスコア化してもらった。

 その結果、自覚症状評価では、「タンニン酸配合入浴剤」使用時は、「タンニン酸を配合しない入浴剤」使用時よりも夜間における痒みが有意に大きく抑制された。また、「タンニン酸配合入浴剤」の使用前後で、夜間および日中の痒みは有意に軽減された。医師による臨床症状評価でも、症状スコアの有意な低下が見られた。一方、入浴剤に起因した有害事象は認められなかった。

 入浴自体による皮膚の清潔に加えて、タンニン酸配合入浴剤の使用は、手軽で継続しやすく、他の治療との併用も容易なことから、アトピー性皮膚炎の長期的な症状改善に大いに役立つことが期待される。

論文情報:【Journal of Cutaneous Immunology and Allergy】Randomized double‐blind cross‐over trial of bath additive containing tannic acid in patients with atopic dermatitis

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