国立情報学研究所と株式会社Insight Tech(インサイトテック)は、研究コミュニティへの研究用データの提供で提携。2021年3月23日より新たに、インサイトテックが運営するサービス「不満買取センター」において収集した「新型コロナ不満アンケートデータ」の無償提供を開始した。

 国立情報学研究所とインサイトテックは、これまでも「不満買取センター※」で買い取られた「不満」の投稿と投稿者のデータからなる「不満調査データ」および「不満」の投稿をもとに構築された「カテゴリ別不満特徴語辞書」を研究コミュニティへ提供している。

 今回提供を開始した「新型コロナ不満アンケートデータ」は、インサイトテックが運営する「不満買取センター」上で実施した、新型コロナウイルスについてのアンケート5回分、延べ16,043件を収録したデータ。アンケートは時期を変えて、新型コロナウイルスの感染拡大~緊急事態宣言解除後の2020年3月~6月の間に4回、および、2度目の緊急事態宣言発令がなされた2021年1月に追加で1回実施された。『新型コロナウイルスに関して懸念していることや不満をお知らせください』といった共通の問いや、聴取時期に応じた問いの両方が含まれている。なお、特定の個人につながる情報は提供する研究用データセットには含まれていない。

 「新型コロナ不満アンケートデータ」は、NII「データセット共同利用研究開発センター※」の情報学研究データリポジトリ(IDR)を通じて学術研究向けに公開される。NIIでは2010年にIDRを設置し、様々な企業や機関が保有する各種データセットを受け入れて情報学分野の研究コミュニティに提供を行っている。

 インサイトテックは、NIIを通じて新型コロナウイルスに関する不満や意見に関するデータを広く研究活用してもらうことで、新たな生活様式の中での価値創出の実現を支援し、社会に広く貢献していきたいとデータを提供した。

※「不満買取センター」は、アプリから企業の商品や自治体の事業などへの不満を投稿する(売りに出す)とAIが査定し、その価値に応じて1~10ポイントの価格で買取を行うサービス。AIが分析した不満はレポート化し、企業や自治体に届けられ、今後の商品やサービスの改善・開発に活用される。また、貯まったポイントは 1ポイント1円相当として500ポイントからギフトに交換することができる。

※国立情報学研究所「データセット共同利用研究開発センター」は、2015年4月に、情報学研究に有用なデータセットを整備して研究者に提供するとともにデータセットの構築とその活用基盤に関する研究開発を行うことを目的に新設。研究コミュニティへのビッグデータの提供を強化するとともに、大規模な実データと最先端情報技術を活用したデータサイエンス研究の加速に取り組んでいる。

参考:【国立情報学研究所】新型コロナウイルス関連の不満アンケートデータを研究用データセットとして提供開始

大学ジャーナルオンライン編集部

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