法政大学の島野智之教授をはじめ東京都立大学、国立科学博物館、国立台湾大学の研究チームによって、国内では143年ぶりのオオムカデの新種が発見された。
今回発見されたオオムカデの新種は、陸地と水中にすむ半水棲ムカデで、身の危険を感じると水中に逃げ込み、じっと身を隠す習性をもつ。沖縄本島北部(やんばる地方)の深い森、久米島、西表・石垣島、渡嘉敷島、台湾に生息し、体長約20cm、体幅約2cm(大人の親指くらいの太さ)。同地域に生息する日本最大の川エビ「コンジンテナガエビ」(体長10cm前後)を捕食しているところが目撃されている。過去に半水棲ムカデは、2016年にラオス、ベトナム、タイから1種、2018年にフィリピンから1種が報告されており、世界で3例目、日本では初めての発見となる。
学名は「Scolopendra alcyona」。美しい青緑色(ひすい色)の体色をしていることと、川に飛びこむ姿から、同様に美しい体色の鳥であるカワセミとおなじく、ギリシャ神話の女神アルキオーネの名前にちなんだもので、一方、和名はムカデにまつわる沖縄の故事にちなんで「リュウジンオオムカデ(琉神大百足)」と命名された。
日本には本種を含め5種のオオムカデ属が分布するが、日本からオオムカデ属の新種が記載されるのは、アオズムカデ(Scolopendra japonica)とトビズムカデ (Scolopendra mutilans)がドイツ人の手によって1878年に新種記載されて以降、実に143年ぶり。また、日本人の手によって、オオムカデ属の種が記載・命名されるのは初となる。
このオオムカデについては少し前から現地で噂になっており、今回研究チームが学術的に確認したもの。研究にあたり、平良 太氏(あしむりの郷)、佐々木 健志氏(琉球大学博物館)、當山 全翔さん(沖縄県立辺土名高校3年生)、佐藤文保氏(久米島ホタル館・館長)ほか多数が協力した。