新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費行動の変化が家庭から排出する二酸化炭素量に大きな影響を与えていないことが、東京大学未来ビジョン研究センターの龍吟特任助教、GASPARATOS Alexandros准教授らの研究で分かった。ガソリン消費や外食による二酸化炭素排出量は大きく減ったが、食料消費による排出量が大きく増えていた。
東京大学によると、研究には中国精華大学や総合地球環境学研究所の研究者も参加し、新型コロナ感染拡大初期の2020年1~5月、日本国内の消費行動の変化が二酸化炭素排出量にどう影響したのかについて、総務省統計局の家計調査データをサプライチェーン分析と組み合わせて分析した。
その結果、外食や外出、衣類、娯楽などで排出する二酸化炭素量は大きく減ったが、自宅での食事で排出する量が大きく増えていた。電力やガスなど排出量に変化がないものもあった。全体の排出量は2015~2019年と比較してほぼ同じレベルで、年齢グループ間の排出パターンにも特に変化が見られなかった。
日本では家庭部門から出る二酸化炭素排出量が全体の7割程度を占め、ライフスタイルや消費行動の変化が排出量の変化に大きな影響を与えると考えられてきた。しかし、研究グループはコロナ禍の消費行動の変化が自動的に排出削減につながるわけではなかったとしている。
論文情報:【One Earth】Negligible impacts of early COVID-19 confinement on household carbonfootprints in Japan