新型コロナウイルスの感染拡大後、市中肺炎で緊急入院する患者の数が大幅に減少していたことが、京都大学大学院医学研究科の今中雄一教授、國澤進准教授、長野広之大学院生らの調査で明らかになった。

 京都大学によると、今中教授らは感染症分野の医療データベースを使い、2019年8月1日から2020年7月末までの市中肺炎による緊急入院者数、その他の疾患による緊急入院者数を、2018年8月1日から2019年7月末までの数値と比較した。

 その結果、新型コロナの感染が拡大していた2020年3~7月にその他の疾患による緊急入院者数が一時的な減少にとどまっていたのに対し、市中肺炎による緊急入院者数は前年度より45.2%減っていた。入院時の肺炎重症度で分類すると、特に軽症患者の減少が目立った。

 今中教授らは市中肺炎の減少は軽症患者の受診控えや外出自粛など行動が変わったことによる肺炎発症の減少が影響しているのではないかとみている。

 市中肺炎は病院外で発症した下気道感染症と定義される。高齢者に多く発生し、入院や死亡の原因になる。日本では2019年の死因第5位に肺炎が位置し、発症には喫煙や慢性呼吸器疾患などの併存症とともに、ウイルス感染が起因するとされている。

 海外では新型コロナの感染拡大後、市中肺炎による緊急入院患者の減少が報告されているが、どのような重症度の市中肺炎が影響を受けたのかについては検証されていなかった。

論文情報:【International Journal of Infectious Disease】Hospitalization of mild cases of community-acquired pneumonia decreased more than severe ones during the COVID-19 epidemic

京都大学

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