九州大学発ベンチャーのKAICO株式会社は九州大学、鹿児島大学と共同で経口ワクチンに関する特許を出願した。今後、両校のリソースを最大限に活用し、新型コロナウイルスなどに対する経口ワクチンの開発を進める。
KAICOによると、現在使用されているワクチンの多くは医療機関で注射によって接種するものが主流で、医療従事者の確保と接種場所の設置が課題に挙げられている。経口ワクチンが開発されればサプリメントを飲むように誰もが自宅などで接種でき、医療従事者の確保などの問題が解決する。
KAICOは鹿児島大学農学部で抗原たんぱく質の分子デザインやワクチン投与法の検討によって経口ワクチンの開発に取り組む宮田健准教授らと連携し、特許を出願した。この技術を用い、ヒト用に先行して家畜用の経口ワクチン実用化を目指す。
多くのワクチンは温度管理の面で制約があるが、KAICOは常温で保管が可能なワクチンを開発し、輸送や保管面での課題解決も同時に進める。
KAICOは難発現たんぱく質の医薬品、診断薬、試薬の開発を目的に2018年に設立された。コア技術は九州大学農学研究院の日下部宜宏教授が研究しているカイコを利用した組み換えたんぱく質発現で、九州大学工学研究院の神谷典穂教授によるたんぱく質の構造解析・分析技術を使い、事業展開に取り組んでいる。