腸で呼吸をするドジョウをヒントにしてブタやマウスなどに尻から酸素を入れ、呼吸不全を改善することに、東京医科歯科大学統合研究機構の武部貴則教授、名古屋大学大学院医学系研究科の芳川豊史教授、京都大学大学院医学研究科の伊達洋至教授らの研究グループが成功した。
東京医科歯科大学によると、研究グループは酸素が少ない環境下でブタやマウスなどに酸素を送り込んでガス交換したところ、血中の酸素が増えて呼吸不全の症状が改善した。低酸素状態になると腸で呼吸するドジョウをヒントにして開発したもので、この方法は換気などを意味する英語の頭文字を取り、EVA(Enteral Ventilation)法と命名された。
新型コロナウイルス感染症でも見られる低酸素血症を伴う呼吸不全に対し、人工呼吸器や人工肺による治療が行われているが、これらの医療機器は極めて高価で、高度な専門性が必要になるうえ、患者の身体の負担が大きいことが問題になっている。このため、新たな治療法の開発が待ち望まれてきた。
ドジョウのように腸で呼吸する生物がいるものの、腸を介したガス交換が哺乳類で可能かどうか分かっていなかった。そこで、研究グループは腸管内に純酸素ガスや酸素が豊富に溶けた化学物質を注入するEVA法を開発、有効性をブタやマウスなどで実験した。
なお、本研究の推進に向け、2021年5月15⽇(土)から 6月30⽇(水)23時まで「世界初の腸呼吸で、呼吸に苦しむ患者さんを助けたい︕」というクラウドファンディングを実施する。コースは1口3000円から設定されており、1000万円を目標に寄付を募る。このプロジェクトは、クラウドファンディングサービスを運営するREADYFOR株式会社と東京医科歯科大学の業務提携第1号となっている。
参考:【東京医科歯科大学】腸呼吸の応用により、呼吸不全の治療に成功!
【READYFOR株式会社】世界初の腸呼吸で、呼吸に苦しむ患者さんを助けたい!