東京大学と名古屋大学のグループが、「AI教習システム」の製品化に成功した。
本グループでは、自動運転に必要となる模範的な運転モデルの対象として、自動車運転教習所の教習指導員に着目し、その運転行動をルール化した運転モデルを開発した。
また、自動運転に特化した高精度センサーであるLiDAR(Light Detection and Ranging)の観測データと高精度地図を照らし合わせることで、車両位置推定や障害物検知を高い精度でリアルタイムに行える自動運転ソフトウェアを導入した。車内に設置したカメラで取得した画像から、機械学習モデルを用いてドライバーの顔向きを推定する技術も開発した。
これらを評価指標として、数値データ化された運転行動を、教習指導員の運転モデルを用いて評価することにより、右左折前の車両の寄せ方や目視による確認、ショートカット、大回りなどといった運転行動を、教習指導員と同等の精度で定量的に評価できるAI教習システムが構築された。本システムの社会実装にあたっては、評価指標の閾値から逸脱する、危険と判定された運転行動に対して、教習指導員が行うように、自動でブレーキ制御を行って危険を回避する機能も備えた。
自動車教習所は、教習指導員の高齢化や採用難による人材不足により、講習の予約待ち(平均2~3か月)が問題になっているという。今回製品化されたシステムを自動車教習所に適用することで、こうした課題の解決につながるとともに、自動運転技術の継続的発展に寄与する実データの集積も可能となるとみている。
参考:【科学技術振興機構】自動運転技術を用いたAI教習システムの製品化~AIを活用した自動車教習で安全な交通社会の実現へ貢献~