名古屋大学とトヨタ自動車系のトヨタ・モビリティ基金(東京、豊田章男理事長)は、過疎地に住む高齢者らに新たな移動手段を提供するための共同研究契約を締結した。タクシーやマイカーへの相乗り、自動運転車の導入を計画しており、愛知県豊田市で実証実験に入る。

 トヨタ自動車によると、契約期間は3年間で、研究費3億6,000万円をトヨタ・モビリティ基金が支援し、多様な移動手段、人感センサーによる健康見守り、中山間地域に適した超小型モビリティ(注)などを研究する。東京大学、豊田市、足助病院などが協力団体に加わり、共同研究を支援する。

 実験場所となる愛知県豊田市の足助地区は、人口約8,000人のうち、半数近くを高齢者が占めるが、週1日運行のコミニティーバスしか公共交通機関がない場所がある。名古屋大学は住民がスマートフォンやタブレットでマイカーへの相乗りを手配できるシステムを開発、1月から約10世帯を対象に試験運用してきた。共同研究期間中は対象を200世帯前後に増やす一方、乗り合いタクシーの活用、1~2人乗りの電気自動車からバスに乗り換える方式、自動運転車の導入も視野に入れ、高齢化が進む地域で住民の足となる公共交通の新しいモデルを探る。

 トヨタ自動車社長でもある豊田章男トヨタ・モビリティ基金理事長は「中山間地域の高齢者に自由に移動する喜びを感じてもらい、このモデルの普及を中山間地域の活性化につなげたい」としている。

(注)モビリティ 移動性や動きやすさを意味する英単語で、人間を主役として交通を考える意味で使われることが多い。

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