東京理科大学経営学部の菅原慎矢准教授、日本大学総合科学研究所の中村二朗教授は、新型コロナウイルス感染拡大で通所介護や訪問介護の利用控えが起きていることを突き止めた。その負担は家庭で介護に当たる女性に押し寄せ、介護と就労の両立がピンチに立たされている。

 菅原准教授らは各都道府県が発表する月ごとの勤労統計データを用い、新型コロナの第1波感染拡大と介護サービス利用状況、労働状況の関係などを調査、分析した。

 それによると、通所介護は感染を怖がって避ける傾向が全国的に見られたほか、政府が代替措置として利用を奨励していた訪問介護も利用控えが起きていることが分かった。

 新型コロナの陽性者が増えるとともに、労働時間が減少する傾向が全国データで見えた一方、地域では新型コロナ陽性者と女性の労働時間に負の相関が確認された。菅原准教授らは通所介護や訪問介護の利用控えのしわ寄せが働く女性に集まった結果とみている。

 今回の調査、分析には、労働時間をより変更しやすいパート労働者が含まれていない。パート労働者の多くが女性であるため、菅原准教授らはより大きなしわ寄せが家庭内の女性に集まっているのではないかと考えている。

論文情報:【Health Policy】Long-term care at home and female work during the COVID-19 pandemic

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