佐賀大学医学部の研究グループは、熊本大学、長崎大学との共同研究で、喘息モデルマウスは健常マウスと比べて骨量が少ないことを発見。また、骨減少には骨のメカノセンサーPiezoチャネルが関与し、Piezoチャネルの活性化により骨量減少を抑制できると分かった。
喘息やアトピー性皮膚炎を持つ患者は骨が減少しやすいことは以前からよく知られている。これは治療のために用いるステロイド薬が骨を弱めると理解されてきた。研究グループは、アレルギー疾患そのものが骨の量に関与すると仮説を立て、研究を進めた。
研究では、実験的に喘息を起こした喘息マウスの大腿骨や脛骨を健常マウスと比較した。すると、喘息マウスの骨では、骨が成長する部分の骨梁が少なく、破骨細胞(骨を吸収する細胞)が多く、骨芽細胞(骨を作る細胞)が減少していることが分かった。
力が加わると骨が作られることから、機械刺激感受性のメカノセンサー分子Piezoチャネルの量を比較した。すると、喘息マウスの骨ではPiezoチャネルの発現量が低下していた。さらに、Piezoチャネルの活性化を行うと喘息マウスの骨量の減少を抑制できた。
現在の骨粗鬆症の治療薬は破骨細胞の抑制や骨芽細胞活性化の効果は高いが、骨の十分な獲得には至っていない。これは、骨量が減る仕組みに不明な点が多いためと考えられる。今回の研究の成果が、アレルギー疾患に伴う骨量減少への新たな予防戦略やメカノセンサーを標的とした治療薬の開発へとつながることが期待されるとしている。