法政大学自然科学センター・国際文化学部の島野智之教授(動物分類学)が関わる2つのチームが新種記載したベニエリルリゴキブリ(宮古島・沖縄県)やリュウジンオオムカデなどが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律「種の保存法」の「緊急指定種」に、2021年7月1日から2024年6月30日までの3年間指定される。
今回緊急指定種に指定されたのは、世界自然遺産登録を目指す沖縄島北部などを含む南西諸島に生息する2種のゴキブリと1種のオオムカデ。いずれも、新種と発表され、海外を含む採取者に注目されることによる捕獲圧が、本種の存続に重大な支障が生じる恐れがあることから指定され、捕獲・殺傷・販売などの行為が法律下で禁止される。
オオムカデは、世界で3例目の半水棲ムカデとして、2021年4月に島野教授と東京都立大学・国立科学博物館などのチームによって新種記載されたリュウジンオオムカデ(南西諸島の複数の島に分布)。2種のゴキブリは、2020年11月に法政大学・竜洋昆虫自然観察公園・鹿児島大学等のチームによって新種記載されたウスオビルリゴキブリ(与那国島のみ)と、同チームによって、2021年6月に新種記載されたベニエリルリゴキブリ(宮古島のみ)。
「いわゆる不快害虫」でもあるゴキブリ、ムカデの一種が、「種の保存法」の国内希少野生動植物種または「緊急指定種」に指定されるのは初めて。
「緊急指定種」は、種の保存法第5条に基づき、環境大臣が指定するもので、特にその保存を緊急に図る必要があると認められる種について、捕獲・殺傷、譲渡し、輸出入、陳列等が禁止される緊急的な措置。指定期間は3年が限度となる。指定期間中に科学的知見の集積や今後の保全方針の検討がなされる予定。