香川大学・香川県立保健医療大学とユニ・チャーム株式会社は、生理痛に悩む女性のために開発された「温感技術」を施した生理用ナプキンが、生理痛や心理的負担に及ぼす影響について共同で検証し、第49回日本女性心身医学会学術集会で発表した。
女性の社会進出が進む一方で、生理による心身の不調に対して自分に合った適切な対処ができていない状況がある。日本では女性労働者の45.9%が生理を苦痛と感じており、生理痛に対する困窮度も高いことが分かっている※が、生理痛を対処する手段は多くない。
このような現状の解決手段の一つとしてユニ・チャームが開発したのが、「温感技術」を施した生理用ナプキンだ。生理用ナプキンのパッドを下腹部を覆うように延長させ、その部分にヨモギ調の香りと温感剤を施したもので、下腹部が温まることで生理痛が緩和され、心理的負担も軽減することを狙いとした。
香川大学・香川県立保健医療大学とユニ・チャームが生理痛に悩まされている20~34歳までの健康な未産婦を対象に使用の効果を検証したところ、一般的なナプキンを使用した人(41名)に比べ、「温感技術」を施した生理用のナプキンを使用した人(42名)は試験当日の鎮痛剤服用者数・服用回数が減少した。鎮痛剤非服用者の生理痛軽減度では、「温感技術」を施したナプキンを使用した人の74%が「生理痛が非常に軽くなった/軽くなった」と回答した。
また、「温感技術」を施した生理用のナプキンを使用した人は、身体があたたまることを実感した。温感の感じ方には個人差があり、温感を「ちょうどよいと感じた人」では、「強いと感じた人」に比べ、生理痛VAS(検証対象者の主観値の評価手法)が有意に改善され、心理的にも“リラックスできた・ほっとした”と感じた割合が高かった。
今回の結果から、ナプキンに搭載された「温感技術」により、生理痛が緩和される可能性があることが示され、また、ちょうど良い温感を提供することによって、生理中の女性の気持ちをポジティブに変化させられる可能性もあることが分かった。
香川大学医学部の塩田敦子教授は、『生理痛は月経困難症という立派な病気です。痛みの原因となるのは、主に子宮内膜に含まれるプロスタグランジンという物質。子宮の筋肉を収縮させ、子宮を栄養する血管も収縮させるので血流が悪くなって痛みます。またストレスや不安も交感神経を興奮させ血流を悪くします。ナプキンに搭載した温感技術は、温感と香りを「心地よい」と感じさせること、軸索反射で皮膚温を上げることで、副交感神経を働かせ、子宮の血流を改善させると考えられます。実際に生理痛が緩和されたという検証結果が出たことはうれしいことでした』とコメントした。
また、塩田教授は生理痛に困っている女性について、婦人科の受診や鎮痛剤・低用量ピルなどの治療薬はあるが、漢方医学的には冷えやストレスの緩和によって心身のバランスを整えることが必要と語り、『生理痛を適切にケアできるこのようなナプキンを研究・開発することは、自分の身体のリズムに合わせてなかなか休むことのできない、現代女性の強い味方になるだろうと確信しています。』と期待を寄せている。
なお、今回の技術を応用した商品が2020年11月から中国で販売されており、使用者からは「カイロとは全く違いますね。お腹の冷えに悩んでいたので、助かりました。」「生理が重い時でも手軽にお腹を温めることができ、少し痛みが和らいだような気がします。」といった声が届いているという。
※全国労働組合総連合女性部 女性労働者の健康・労働実態及び雇用における男女平等調査報告(2007年実施)による
参考:【ユニ・チャーム株式会社】香川大学、香川県立保健医療大学と共同検証 ナプキンへの「温感技術」搭載により、74%の方の生理痛が軽減することを実証