専門職大学・専門職短期大学は、55年ぶりの新たな高等教育制度として2019年にスタートした。
なぜ専門職大学という制度が作られたのか、その背景、そして専門職大学の目的・役割や意義などについて、文部科学省高等教育局専門教育課 村本定則課長補佐、神藤規宏専門職大学係長のお二人にお話を伺いました。
専門職大学制度設立の背景
終身雇用が前提であったときは企業で人材育成ができましたが、企業も即戦力を求めるようになってきています。このような状況のなか、専門的な職業教育を行い、さらに社会の変化に対応できる人材を養成する教育を制度的に担保した新たな大学を作ろうということで、専門職大学が制度化されたのです。
専門職大学での学びの特徴
専門職大学は、理論と実践の両方を学ぶことに特徴があります。専門職大学の特徴は、文部科学省のホームページでも詳しく紹介していますが、大きく4つにまとめられます。1つ目として、実習実技が多いこと、2つめは、実務家教員による少人数教育、3つめは、実践的・応用的カリキュラム、そして4つ目に、卒業時に大卒・短大卒の学位が与えられることです。
通常の大学との違いは、職業教育として、実際に企業の現場で長時間学ぶ臨地実務実習を行うこと、1つの専攻を学びつつさらに関連する他分野も学ぶ展開科目があること、地域や産業界の要望を取り入れることができる教育課程連携協議会を設置することなど、一般の大学にはない新しい仕組みを設けていることです。
専門職大学の先生からは、実習を経験すると学生も一皮むけるという話もお聞きします。実習で、実際に職場ではどういう能力が求められるのかを知れば、その後、学生の大学での学びに対する姿勢もやはり変わってくるのだと思います。
変化の激しい社会で役立つ「展開科目」の学び
専門職大学独自のカリキュラムの特徴として、「展開科目」という科目が設定されています。展開科目とは、専門分野と関連する他分野の知識等との結びづけ、新たなモノやサービスを生み出すことのできる豊かな創造力を育成するための科目です。
今ある職業が今後ずっとあり続けるかはわからないという時代になりつつあります。そのような時代では専門性に加えプラスアルファの知識を持つことによって、新たな事業を展開する、元々あった職業をアレンジして新しい分野を創出する、そういった能力が求められるでしょうから、展開科目での学びは学生にとってメリットとなるのではないかと考えています。
また、昨今の世の中の変化のスピードは速く、必要とされる科目や内容も変わっていく可能性があります。各専門職大学・専門職短期大学には、教育課程連携協議会をうまく活用し、業界の最新の動向を把握するとともに、カリキュラムなどに反映していただくことを期待しています。
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