専門職大学・短期大学(以下、専門職大学)は、従来の大学や専門学校の教育では、目まぐるしく変わる社会の変化・ニーズに対応できなくなった現状を踏まえ、優れた専門技能をもって(高度な実践力)、新たな価値を創造することができる(豊かな創造力)専門職業人の育成を目的とした新たな高等教育機関として2017年に制度化されました。

質の高い実践的な職業教育を行うことが制度的に義務化されました。その目指すところや教育内容は、従来の大学や専門学校とは全く異なるものです。2019年度から設置が始まり、すでに多くの学生が専門職大学で学んでいますが、実際に、学生たちは、その学びをどのように感じ、どのように受け止めているのでしょうか。

今回、IT、情報経営、リハビリテーション、ファッション、農業、動物看護などそれぞれ異なる領域の各専門職大学で学ぶ学生たちにアンケート調査を行った結果、「少人数教育」「理論と実践が連動した教育内容」「実務家教員による実践的な学び」など、従来の大学とは異なる専門職大学の特色に、学生が魅力を感じ、その学びへの満足度が高いことや専門職大学への期待度が高いことなど、その実態がみえてきました。

 

 

アンケートの質問項目

Q1: 従来の大学ではなく、専門職大学を選んだ理由を教えてください。
Q2: 現在、専門職大学でどのようなことを学んでいますか。
Q3: 専門職大学だから感じられる魅力を教えてください。
Q4: 実践力が身についたと実感した授業・科目を具体的な内容とともに
教えてください。
Q5: 展開科目の学びが、自分の将来にどのようには役立つと思いますか。
また、特に印象に残っている、影響を受けた科目を教えてください。
Q6: 専門職大学に入学して成長したことは何ですか。
Q7: 将来の夢を教えてください。

 

実践に重きを置いた教育内容 ―従来の大学との決定的な違い

専門職大学を選んだ理由(Q1)を尋ねると、いずれの領域においても、従来の大学とは異なる「実践に重きを置いた教育内容」であることが魅力にあげられていました。「専門性に特化している」「実践的な授業形態が多く編成されている」「理論と実践が連動した内容で専門的な知識と技術を学ぶのに最適な環境である」「実習教育が多いカリキュラム編成である」「臨地実務実習やインターンシップ制が充実している」といった内容のコメントがみられ、また「学士(専門職)」が取得できることも魅力の一つになっています。

 

基礎から実践へと連動したわかりやすいカリキュラム編成

実際に学んでいる内容(Q2)については、「充実した基礎教育が提供されている」「基礎教育から実践教育へと理解しやすいカリキュラム編成になっている」「充実した臨地実務実習やインターンシップ制などが実践されている」など、常に実務や臨床の現場を意識した教育内容に満足していることが伺えました。

 

専門職大学だから実現できる「少人数教育の実践と豊富な実務家教員」

専門職大学ならではの魅力(Q3)として、「少人数教育の実践と豊富な実務家教員の配置」が全ての領域における共通の魅力としてあげられています。「学生相互間及び学生と教員の間の距離が近い」「コミュニケーションがとりやすい」「アットホーム的である」など、専門職大学の特長の一つである少人数教育という教育環境を重要視しているコメントが寄せられました。また豊富な実務経験をもつ実務家教員がでなければ対応できない実践的かつ専門的な教育が受けられることに、やはり満足度が高い印象です。実務家教員の指導の下で、早い段階から企業との共同プロジェクトに参加している大学があることは、専門職大学だからこそできる実践的教育と言えるでしょう。

 

多彩な実務・実践関連授業による実践力向上

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大学ジャーナルオンライン編集部

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