沖縄県立宮古高等学校の科学部によるミヤコカナヘビの研究成果(2019年)が、沖縄生物学会誌(第60号)に受理・掲載された。論文ではミヤコカナヘビが1970年代までは身近に生息していたことを明らかにしている。

 ミヤコカナヘビは宮古諸島の固有種で、緑色の体色、細長い体形、自切する長い尾が特徴のトカゲ。1996年に新種として記載されるまで、過去の生息状況に関する知見は限られていた。2010年代以降、個体数減少が指摘され、現在は絶滅が危惧されている。

 そこで、2019年に沖縄県立宮古高等学校の科学部(当時3年生7名)が部活動として、市内の老人ホームや各地の公民館・公共施設(10カ所)を訪問し、50代~100歳の208名から直接聞き取りを行い、本種の過去の生息状況を調査した。

 その結果、伊良部島と宮古島の広い範囲で本種が目撃されており、特に宮古島中央から東よりの地域での目撃者が多かった。年代別では、1950年代に目撃者の割合が特に高く、1970年代でも20%を超えた。さらに、遊んでいた時や自宅の庭で見たなどの回答も少なくなく、方言名に言及する回答者も多かった。これにより、ミヤコカナヘビは1970年代以前、伊良部島と宮古島の広範囲に、人の生活圏内で比較的身近な存在だったことが分かった。

 研究結果を宮古高校科学部のメンバーがまとめた論文は、2020年青少年科学作品展沖縄県知事賞を受賞している。今後、種の保全策を進める上で重要な示唆に富む内容とされる。

 研究・論文作成においては、宮古諸島固有種の絶滅危惧種ミヤコカナヘビの保全・普及活動をしているNPO法人どうぶつたちの病院沖縄、琉球大学熱帯生物圏研究センターの戸田守准教授、世界自然保護基金ジャパンが研究支援・指導・助言を行った。

参考:【琉球大学】「子どものころはミヤコカナヘビが身近にいたよ」 沖縄生物学会誌にて論文発表 宮古高校科学部による地元住民への聞き取り調査 ~宮古諸島の絶滅危惧種ミヤコカナヘビ 過去の分布状況を把握~

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