京都大学大学院医学研究科の島本大也特定助教、石見拓教授、中山健夫教授と京都市、アストラゼネカ、ヘルステック研究所の共同研究グループが、新規発症の非小細胞肺がん患者の初期治療別にその後の生存率を調べたところ、手術した場合の生存率が高いことが分かった。その後の治療費総額は手術が安く、手術できる段階で発見して治療することが、生存率向上だけでなく、医療費の公的負担軽減につながっていた。
京都大学によると、研究グループは京都市が持つ医療データベースから約2,600人を対象に、初期治療が手術だった約1,000人と薬物か放射線治療だった約1,600人に分け、5年後の生存率と、4年後までにかかった医療費を追跡調査した。
その結果、初期治療が手術だったグループの5年後生存率が75%だったのに対し、薬物や放射線治療だったグループは25%未満しかなかった。薬物や放射線治療だったグループは高齢で手術に耐えられないと判断された人も多かったが、研究グループは手術を受けることでよい結果が出たことを示唆しているとみている。
治療費の総額は治療開始後6カ月で手術したグループの中央値が約240万円、薬物や放射線治療だったグループは約295万円だったが、4年後になると手術したグループの約526万円に対し、薬物か放射線治療だったグループは約1,020万円と差が広がり、医療費の公費負担面からみて手術が安上がりなことが明らかになった。