静岡大学と株式会社リクルートのじゃらんリサーチセンターは共同で余暇を楽しむキャリア教育プログラム(教材)を開発した。教材は2023年6月26日より静岡大学教育学部塩田研究室のホームページ上で公開しており、教育関係者や旅行業界関係者は無料でダウンロードできる。
塩田研究室ではこれまでキャリア教育が職業調べや職場体験学習など「仕事」を中心とすることが多かった。しかしAIやロボットの台頭などを背景に働き方が変化するなかで、余暇や家庭、地域活動といったプライベートの充実について考えるライフキャリアの教育の重要性に注目し、新たな教育プログラムを検討していた。
一方じゃらんリサーチセンターでは、少子高齢化による人口減少で人々の余暇の過ごし方も多様化し、国内旅行実施率が減少傾向であることを課題と捉えており、今回、次世代の若年層に旅行の価値を感じてもらい市場のさらなる活性化を目的として、塩田研究室と余暇を楽しむキャリア教育プログラムの共同研究に取り組むことにした。
共同研究では、高校生を対象として「旅行」をテーマに余暇に対する視点を広げ、人生を豊かにするためのキャリア教育プログラム(教材)を作成。自分の「好き」を分解してキーワードから視点を広げ、「してみたい旅行」探しをしていく仕組みになっている。
作成したキャリア教育プログラムを5月25日に富士市立高等学校、6月16日に私立浜松聖星高等学校のキャリア教育の授業で実践した。生徒によるアンケートを行い「旅行に行きたいと思う」という質問に5段階※で回答してもらった結果、授業前は平均4.16点だったのに対し、授業後は4.55点と、旅行意向が増した。「やってみたいこととして旅行の優先順位は高い」という質問に対しては、授業前は平均3.6点で、授業後は4.5点に、「将来は仕事以外の時間を充実させたいと思う」という質問に対しては、授業前は平均4.68点で、授業後は4.75点と増加した。
生徒からは「自分が思っている好みとはまったく別の結果で驚きました。結果を見ると、確かに自分の行きたい旅行の種類だったと思いました」「好きなことから自分に合っている旅行が見つけ出せて楽しかった。あまり旅行に行くことがないので、これからたくさん行きたいと思った」「将来仕事以外の余暇も充実させるようにしたいです」などの声があがり、授業に参加したことでキャリアにおける余暇の大切さや旅行への意欲が高まり、選択肢が広がった様子がうかがえる。
開発したキャリア教育プログラム(教材)は静岡大学教育学部塩田研究室のホームページ上で公開しており、教育関係者や旅行業界関係者は無料でダウンロードして活用できる。
※選択肢は「とてもそう思う」5点、「まあまあそう思う」4点、「どちらでもない」3点、「あまりそう思わない」2点、「まったくそう思わない」1点
参考:【静岡大学教育学部 塩田真吾 研究室】じゃらんリサーチセンターと共同で,余暇×キャリアの教材「人生を楽しむためのキャリア教育」を開発