岐阜大学の研究グループは、新型コロナワクチン接種後の有害事象と生活習慣の関連を調べ、朝食の摂取と十分な睡眠時間をとる習慣のある大学生においてワクチン接種後の症状発生率が低いことを明らかにした。
特に若年成人において、新型コロナワクチン接種に伴う有害事象(発熱等)の発生率が高いため、それに対する懸念からワクチン接種を躊躇う人が多いのが現状である。本研究グループは、新型コロナワクチン接種後の有害事象を予防する要因を明らかにするため、岐阜大学の大学生を対象に、ワクチン接種後の有害事象の発生率と、健康診断での生活習慣に関する情報を照らし合わせる研究を行った。
岐阜大学の大学生では、新型コロナワクチン接種後の有害事象として生命を脅かされるような重篤なものや、入院を要するものはなかったが、ワクチン接種当日もしくは翌日にワクチンを接種した部位の症状(発赤、腫脹など)が89.7%、全身的な症状(頭痛、倦怠感など)が64.3%に認められた。これらの症状の発現率は、ワクチン接種回数が多いこと、女性であること、BMIが低いことと関連していた。
生活習慣との関連では、週に2回以上の朝食の定期的な摂取および睡眠時間を長くとる習慣が、ワクチン接種後の有害事象の発生率低下と有意に関連していることを発見した。
以上から、健康的な食事と睡眠習慣、理想体重の維持が、若年成人における新型コロナワクチン接種後の有害事象の低減に関与する可能性が示唆されたといえる。今後、他の種類のワクチンでも、有害事象の減少に関与する要因が科学的に示されれば、健康的な生活習慣の維持により有害事象への懸念を払拭することにつながると期待される。