東京大学大学院医学系研究科の佐々木那津講師、川上憲人特任教授らの研究グループは、仕事上の孤独感が離職リスクを2.46倍高めることを国内のフルタイム労働者を対象とした半年間の追跡調査で確認した。仕事上の孤独感が離職の意思を高めることは過去の研究で指摘されていたが、数量的に検討した事例はなかった。
東京大学によると、研究グループは東京大学がコロナ禍以降にオンラインで実施している追跡調査のデータから706人の回答を分析し、仕事上の孤独感と離職の関係を調べた。
その結果、半年後に退職もしくは転職して離職していたのは6.7%に当たる47人。職場での孤独感は離職と有意な関係を示し、孤独感がほとんどいつもあった人はほとんどなかった人に比べ、離職リスクが2.46倍高いことが明らかになった。
孤独感は生活上だけでなく、仕事上でも存在することが2000年代から指摘され、職場で良質な対人関係の欠如を認識することで引き起こされる苦痛と定義されている。コロナ禍以降、孤独感を感じる人が増え、仕事への悪影響を指摘する声が出ているほか、離職の意思を高めるとされてきたが、追跡調査などを基に数量的にリスクを解明した事例が世界的になかった。
論文情報:【Journal of Occupational Health】Workplace loneliness and job turnover: A 6-month prospective study