2025年3月17日、日本工業大学埼玉キャンパス(南埼玉郡宮代町)内にある工業技術博物館は、海上保安庁が実際に灯台に設置していたフレネルレンズをはじめとする灯台関連機器の展示コーナーを開設した。

 海上保安庁の海上保安試験研究センターには、長年にわたり灯台に関連した試験研究に使用していた回転装置付レンズ、不動レンズ、ビーコン灯器、浮標用灯具、LED灯器など多数の灯台関連機器が動態保存されていた。同センターではこうした貴重な機器を後世に残したいとの意向があり、国立科学技術博物館の推挙によって工業技術博物館において展示することになった。

 今回展示することとなった機器は合わせて32台。古いものでは1900年フランス製の第五等不動レンズ、北海道能取岬灯台で使用された1916年フランス製の第四等単閃光レンズなど8台の回転装置付レンズが含まれている。このほか石油灯器3台、ガス灯器5台、光源電球の見本、夜間に点灯を自動的にスイッチングするための日光弁3種類(台)なども併せて展示している。海のない埼玉県に所在する工業技術博物館において、展示数量では国内最大級の灯台関連機器が展示されることとなった。

 同日に開催されたオープン記念セレモニーでは、日本工業大学と海上保安庁代表者による浮標用灯具及びLED灯器を利用した点灯式が執り行われた。続いて日本工業大学の柳澤理事長が挨拶に立ち「既存展示品の蒸気機関車などと同様に、今回寄贈された機器は本館にとって特徴がある、価値のある展示物となっていくでしょう。灯台には『導く』『行く末を指し示す』といった役割があり、人間的な感じを受けます。こうした機器に身近に接する機会はこれまでほとんどなかった。寄贈いただいたことに大変感謝しております」と謝辞を述べた。セレモニー後には、参加者が各機器の詳しい解説を聞きながら、展示品を鑑賞した。

 工業技術博物館では日本の産業の発展に貢献した歴史的価値の高い工業製品を400点以上展示しており、特に工作機械は所蔵する約270台のうちの約7割を動態保存で展示している。入場無料で、教育機関の教員・生徒、ものづくり関連産業の関係者、各分野の技術史関連研究者をはじめ、誰でも広く来館可能。今回紹介した灯台関連機器は本館2階に展示している。

参考:【日本工業大学 工業技術博物館】北海道や長崎県の灯台で使用されていたレンズ達が宮代町に大集結!!

大学ジャーナルオンライン編集部

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