横浜国立大学の武田淳教授らは物質・材料研究機構と共同で、物質内の電子に通常の2倍以上の重さを与えることに成功しました。またこの時に確認された電子の特殊な運動が次世代電子デバイスに役立てられると期待されています。
研究グループはビスマスという物質に遠赤外線を照射すると内部の電子が特殊な振る舞いをすることを発見しました。これを解析したところ電子の重さが通常の2.4倍まで増加し、わずかに動くことを発見しました。この電子の動きを利用すれば、現在のコンピュータなどに使われている電流のON/OFFの制御も可能になることが期待できます。さらに、その切り替えの速度は実用化されている物よりも高速であることから、高速で動作する次世代デバイスを開発する鍵になるでしょう。
物質中の電子の振る舞いを調べる際には極低温で行われるものも少なくありません。それに比べてこの研究が室温で行われたことも注目すべき点です。特別な設備で冷却しなくてもよいということは、一般向けに広く普及させるためには不可欠な条件だからです。実用化に向けて、まずは電子のわずかな動きを電流として検出する技術を確立していきたいとしています。