工学専門の大学として開設以来、52年、工学のあるべき姿を追求してきた中部大学。2018年には、国家戦略総合特区『アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区』※1の地の利を活かし、宇宙航空理工学科の開設を構想しています。山下興亜学長と学長特別顧問の後藤俊夫先生に、構想に至る経緯とその背景、新学科の人材育成や教育システムの目指すところなどについて語っていただきました。
21世紀に求められる工学と中部大学
本学はこれまで、「不言実行、あてになる人間」の建学の理念の下、時代と地域の要請に応える工学のあるべき姿を追求してきましたが、世紀に入り、その中葉における工学のあり方について考える中で、私は本学の課題として以下の三つを掲げました。
一つは総合化を通じて工学の活性化を図ること。21世紀に入り、学問研究には、専門を深めるというタテ糸に加え、複雑化する社会の諸課題解決のためにそれらをつなぐ、いわばヨコ糸の展開が求められるようになりました。工学においても例外ではなく、従来技術の継承、改善に加えて、縦割りの専門領域や要素技術の融合ないしは総合、いわば課題対応型の工学教育の推進が求められます。
二つ目は、融合工学、統合工学を実践できる《専門職業人》の育成です。本学のポジショニングから考えれば、生産管理のできる《仕事人》と言っていいかもしれません。
そして三つ目が地域への貢献を加速させること。本学の入学者の90%近くは東海三県と静岡県からで、卒業生の80%も同様の地域に就職します。そのため本学では、地方創生と言われる以前から、学生、教員による地域貢献に力をいれてきましたが※2、地方の高齢化、若者の流出がますます進む中、それを一層加速させなければならないと考えています。