千葉商科大学の人間社会学部では、学生が大学の講義で学んだ知識を本当の意味で「使える知識」として習得できるように、実社会の中でさまざまなプロジェクトに参加するアクティブ・ラーニングのプログラムを数多く用意しています。学生は企業や行政、地域の人々と協働しながら、学んだ理論と現場での実践を反復・吸収し、そのプロジェクトにおける課題の解決や目標の達成に向けて取り組んでいます。

 

りんごと弘前城を組み込んだウェディングプラン

 人間社会学部の学生が中心となって取り組んできたアクティブ・ラーニングのプロジェクトの一つに、「弘前ウェディングプロジェクト」があります。そもそもの始まりは、同学部の「地域プロデューサー養成プロジェクト」に参加していた学生たちが、2015年度に開催された「大学生観光まちづくりコンテスト」で、青森県弘前市における観光による地域活性化プランを発表したのがきっかけでした。

 弘前市は、春の弘前城の桜、夏のねぷたまつりなど、この土地ならではの観光資源を持つ土地です。しかし、いずれも時期が限られているため、年間を通じた観光客の誘致にはこれまで繋がっていませんでした。また、日本国内の他の地方都市と同様、弘前市も過疎化や少子高齢化といった課題に直面しています。

 弘前市の地域活性化プランに取り組むため、人間社会学部の学生たちは、実際に現地を訪れてフィールドワークを行い、全国の市町村別生産量で第1位を誇るりんごや、約400年続いた津軽家の歴史が残る弘前城など、地元の観光資源を活用する方法を模索しました。りんごの花の花言葉は「選ばれし恋」、長い歴史を誇る弘前城は「家族の繁栄」。そこで、学生たちはそれらを「恋愛・縁結び・結婚」という若い世代に訴求できるテーマに結びつけ、りんごと弘前城を組み込んだウェディングプラン「愛“ひろ”がり 、“さき”ほこる弘前ウェディング」を考案したのです。このプランには、弘前城での記念写真の撮影、記念となるりんごの木の植樹、りんごを使った料理による披露宴、地元の伝統工芸品の引き出物など、弘前市ならではの特徴を持つユニークなアイデアが織り込まれました。
 

 

事業化への取り組みで感じた、社会のリアル

 「愛“ひろ”がり 、“さき”ほこる弘前ウェディング」は、2015年度の「大学生観光まちづくりコンテスト」において、青森県知事賞を受賞。その後、人間社会学部では、このプランの事業化を目指す「弘前ウェディングプロジェクト」が立ち上げられました。2016年度には実現可能性を探る現地調査が実施され、2017年度には同学部のほか、弘前市、一般社団法人CSV開発機構、弘前市内の関連企業など、産学官の連携でプロジェクトの事業化を検討する「弘前ウェディング研究会」が発足。2017年度と2018年度には、公益財団法人むつ小川原地域・産業振興財団によるプロジェクト支援事業に採択され、事業化に向けてさらに一歩前進しました。弘前市の関係団体との協働によるプロモーションムービーの制作やイベント出展などのPR活動も継続されています。

「このプロジェクトが始まった時、私は1年生だったのですが、当時はコンテストに提出するプランを先輩方とまとめることに精一杯で。それからこんな風に弘前ウェディングの事業化に向けて取り組むことになるとは、想像もしていませんでした」と、プロジェクト発足当初から中心メンバーとして活動してきた人間社会学部4年の堀田知里さんは、これまでの自身の活動をふりかえります。

「弘前ウェディングのプランを提案させていただいた当初は、地元の関係者の方々も『学生のアイデアだから』と温かい目で見てくださっていたと思います。ただ、実際に事業化に向けての検討が始まると、『本当に事業として成り立つの?』『最初から結婚式というのはハードルが高いのでは?』『他とどう差別化するの?』といったご意見もいただくようになって。大人の方々の本気を見せていただいたというか、これが社会のリアルなのかと(笑)。でも、地元の方々からの期待も確かに感じていました。みなさんに、他人事ではなく自分事にしていただけたのが、うれしかったです。これからも関係する方々のそれぞれの立場をきちんと考えながら、プロジェクトを進めていかなければと思っています」
 

 堀田さんは今後の課題として、弘前市を観光に訪れる人々の「交流人口」だけでなく、地域に愛着を持ってさまざまな形での関わりを続ける「関係人口」の増加を目指して、ウェディングの前に弘前市の魅力を知ってもらうためのプロモーションやツアープランの検討などを挙げています。また、弘前ウェディングのパッケージプラン自体も、現実的な視点でさらにブラッシュアップして、最終的には弘前市の事業者だけで運用できる形にすることを目指すそうです。学生たちが種を蒔き、丁寧に育て続けてきた弘前ウェディングプロジェクトは、まさにこれから花開こうとしているのです。

千葉商科大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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