高校生へのメッセージ

 

私のこれまでの経験では、一生懸命打ち込んだことでムダになるものは何一つないと思います。学生時代、自分たちで法律の研究会を作って勉強したことは、大学執行部で何もないところから規則を書くことに役立っています。趣味といえども、一生懸命打ち込んである程度のレベルまでいくと、いつか何かで活きてきます。みなさんも、どうしてもやりたいこと、食べるのも忘れて打ち込めるものをぜひ見つけて下さい。

もう一つ伝えたいのは、大学受験は決してゴールではないということ。学生時代は、社会に出るまでの4年間を、どう過ごすかを考える最後のチャンスです。いろんな勉強や経験もできます。しかも失敗しても許される。ワクワクして大学へ入り、ワクワクしながら4年間を過ごしてほしいものです。

 

丸の内ビジネス研修MBT Marunouchi Business Training

私の専門は経済学ですが、就職部長、キャリア支援センター所長時代に、企業の人たちと接する中で、人材育成論に興味を持ち、キャリア教育の体系化に取り組むようになりました。そしてその中で考えていた理想を、何とか実現させたいと考えて始めたのがMBTで、今年で7年目を迎えます。

MBTでは、春に全学部から3年次の学生を選抜し、場合によっては院生も交えて6、7人のグループをいくつか作り、日本を代表する企業から課題をもらいます。そして約4 ヶ月かけてその解決策を考え、最後は8月に、丸の内の会議室で課題をもらった企業の人たちを前に、スーツ姿でプレゼンテーションを行います。

指導する教員も全学部から集め、一つのチームに複数人割り振ります。教員が一人だと、学生がその教員の言うことを聞いてしまうからです。教員の意見が常に正しいとは限りません。違う意見も聞けるようにすることで、教員の意見もたくさんある見方の一つに過ぎないことを知ってもらうのです。

協力企業は例年20社前後。当初は成蹊ゆかりの三菱グループ20数社を回って協力を依頼しました。提供される課題は様々ですが、中にはかなり難しいものもあります。例えば昨年度は、「2020年に向けて丸の内アンバサダーの新しいサービスを考えよう」というもの。学生たちは、丸の内アンバサダーや丸の内の歴史について調べたあと、丸の内の弱点を考えたり、東京駅に立って丸の内を往来する客層を調べたりしました。プレゼンテーション前日は、資料の練り直しや練習で徹夜。プレゼンテーションが終わった後は、ばったり倒れそうだったと。しかしこうしたアウェイの緊張感の中で、必死でやりきり達成感を味わった経験は、何物にも代えがたいものですし、それが彼らを驚くほど成長させたのはまちがいありません。

 

「サステナビリティ教育研究センター」と「Society5.0研究所(仮称)」で「Society5.O for SDGs」について研究、その成果を教育に還元

「成蹊大学USR綱領」を定め、教育、研究、その他社会貢献活動を通じて《大学の社会的責任(USR)》を果たしていくことを宣言した成蹊大学。昨年には、持続可能社会に向けた取り組みや教育方法について、学園をあげて研究すべく「サステナビリティ教育研究センター」を開設し、2020年度からは、大学の教養カリキュラム(全学共通)の中に、「持続社会探求」の科目群を設け、研究の成果を大学教育にフィードバックする。また近い将来「Society5.0研究所(仮称)」を開設し、超IT社会の持続可能性について多面的に考察する。とりわけ技術倫理、情報倫理等についての教材研究に力を入れ、大学の情報教育にフィードバックさせるなど、「サステナビリティ教育研究センター」との両輪で「Society5.O forSDGs」に関する教育研究のトップランナーを目指す。

 

成蹊大学
学長
北川 浩 先生
1960年山口県生まれ。1989年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得満期退学後、成蹊大学経済学部専任講師に就任。1999年同学部教授。学長補佐、経済学部長などを歴任し、2016年より現職。専門分野は経済学(貨幣論、金融論、人材開発論)。山口県立岩国高等学校出身。

 

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成蹊大学

豊かな教養と人間性を育み、徹底したグローバル教育で真の国際人を育成

成蹊大学は、教職員との距離が近い伝統の少人数教育を重視。教職員と学生が近い距離で緊密な信頼関係を築き、互いの人間力を高めあっています。全学部共通の「成蹊教養カリキュラム」や「副専攻制度」、「丸の内ビジネス研修(MBT)」や「EAGLE(グローバル教育プログラム[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

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