2020年度の入試から始まる大学入試制度改革。大学入試センター試験に代わって大学入学共通テストが導入されるなど、約30年ぶりの大幅な改変が実施されます。こうした状況の中、千葉商科大学では、2020年度一般後期の入試における記述式問題の導入や、2021年度の総合型選抜入試での適性検査へのCBTの導入などの対応を進めています。こうした取り組みと現在の状況について、同大学入学センター長の出水淳さんにお話を伺いました。

 

社会的事象を読み解ける人材を求めて

 グローバル化や技術革新などの時代の変化に柔軟に対応できる人材の育成を目指し、高校と大学の教育のあり方を全体的に見直す取り組み、「高大接続改革」。その一環として実施される大学入試制度改革では、受験者の能力や経験をより的確に判断するための基準として「学力の3要素」を多面的かつ総合的に評価するという指針が掲げられています。「学力の3要素」とは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」。このうち、入試における記述式問題の導入は「思考力・判断力・表現力」を評価するためのものとされていて、2021年度入試から各大学での導入が順次進んでいくと予想されています。

 千葉商科大学では、2020年度の一般後期の入試から「記述式総合問題」という科目が新たに設けられる予定です。これによって入試は、学力テスト2教科200点、記述総合40点、調査書の評価40点、合計280点満点という形になります。

 



記述式総合問題は長文要約が主体で、2000字程度の文章を200字に要約することを求めるほか、さらに短い文章で自らの意見を記述する設問も設けられます。出題される長文は、時事問題や論説などが予定されています。

「記述式総合問題の採点は、長文の中で重要となる複数のポイントが要約に含まれているかどうか、といった基準で評価することになると思います。本学は実学の大学なので、求めているのは、社会的事象を読み解く力を持つ人材です。記述式総合問題では、大学1年の基礎ゼミなどで必要な能力を測るというイメージです。文章を理解してまとめる力、それを人に伝える力。その学生が入学後にどの程度のレベルに到達できるか、この試験である程度わかるのではないかと考えています。記述式問題のような取り組みは、今後もいくつかやっていく予定です。」と出水さん。

 

CBTが示すこれからの入試の可能性

 また同大学では、2021年度の総合型選抜入試(旧AO入試)などにおいて適性検査を新しく実施しますが、その適性検査に、iPadなどのタブレット端末で設問に回答させるCBT(Computer Based Testing)を導入する計画を進めています。試験会場には設問をインストールしたiPadが用意され、受験者は暗証番号を入力後、対話形式で問題を解いていく形になるとのことです。

「CBTは今回、総合型選抜入試の受験者向けに実施するので、対象としてはあまり多くはありませんが、今後も学力を測る入試では導入していきたいですね。最終的には、全国各地で高校の先生の立ち会いの下、オンラインでCBTでの入試を実施できるようになればと思っています。今は面接にしても、受験者がどこにいてもスカイプ経由で実施できますし、試験も全員を同じ場所に集めていっせいにやるという時代ではなくなってきているように感じます」と出水さんは言います。

 千葉商科大学では、記述式問題の例題と解答例、CBTの例題についてもiPadでのタッチ&トライが可能な形でそれぞれ2019年8月18日・25日のオープンキャンパスプログラム内にて公開される予定になっています。

 

千葉商科大学 入学センターオフィス
入学センター長・入試広報部長
出水 淳さん

 

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