1995年と今は酷似

私のこれまでの経験からすると、今は1995年からほぼ15年後で、次の大きな変革への信号が強くなり始めるころです。今年がいろいろな意味で1995年によく似ているのも象徴的です。

1995年に起きたのはIT革命で、それに通信革命が続いたわけですが、次に来るのは、多くの人も考えているように、資源・エネルギーに関連する革命
だと思います。もちろんこれには国の政策も関係します。1995年は、電電公社の民営化がそのきっかけを作ったのです。

資源、エネルギー関連の革命では、二次電池は再び影の主役を演じならなければなりません。そのためには、リチウムに変わる新たな材料の開発や、電極・電池の構造の改良も必要でしょう。

加えて重要なのは、電池の外側、周辺技術の革新です。なかでもとりわけ重要なのが充電です。もう一度、少し昔のことを思い出してみましょう。電話機にはかつて、電源を得るためと回線に接続するための二本のコードがありました。それが受話器に電池を内蔵することでコードレス電話になり、今は回線を電波で受けるワイヤレスになりました。これが携帯電話、つまりコードレスであり、ワイヤレスな電話です。

同じことは電気でも可能です。電波を使って電池を充電することをワイヤレス給電といい、実用化もすでに始まっています。時速500㎞で宙に浮いて走るリニアモーターカー。JR東海の新型には一切電池が積んでありません。電気はすべて軌道から送られてくる電波をキャッチして賄います。

未来の車が高速道路上を、道路に敷設された発信機から電波を受けながら走行している姿を想像して下さい。バッテリーにも十分電池が蓄えられますから、インターチェンジを出た後はそれを使って走ります。もしかしたらもっと先の未来には、私たちが開発した二次電池さえもいらなくなってしまうかもしれません。そういう時代を作っていくのはみなさんたちなのです。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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