山極:京都大学にも海外からサマースクールに参加したいという希望は多いが、宿泊施設に苦労している。オックスフォードやケンブリッジ等の海外の大学では、夏は学生がみな寮を出て、サマースクールのために空けてくれるから、そこを低料金で使ってもらえるが、日本の大学ではそれができない。これが解決されれば、短期留学生もかなり来ると思う。この9月に国際交流会館を2つ新しく開館した。京都市や京都府に土地を提供してもらっている。

 短期留学の受け入れ拡大は、日本の学生にとっても望ましい。たとえば京都でいうと、最近、京都府の建てた京都府立京都学・歴彩館(府立大に所属)に、京都大学の教員が出向いて留学生相手に京都学を教えているが、学生も留学生を案内するアルバイトを通じて、京都の伝統に触れ、職人芸を目の当たりにすることができる。大学の中だけで4年間を過ごしていると、そういうことを知らずに卒業してしまうことになりもったいない。また知り合った留学生に招かれて、イギリスやアメリカ、フランスへ安価で行く者も出てくるなど、学生が自らの手で窓を開けることにもつながる。

森上:最後に学芸大附属の大野先生から。

大野:今年は特色入試で一人お世話になったが、本校は課題研究やフィールドワークなどに力を入れている個性的な生徒が多い。今の3年生には「オナラの音と臭い消すパンツ」の研究でメディアでも評判になった生徒もいる。本校のグローバル化対応はアジア重視。修学旅行はバンコクとソウル、またタイでは北部地方のチェンライにある高校と連携して、毎年15名ぐらいが行き来している(タイ王国 プリンセス・チュラポーン・サイエンス・カレッジチェンライ校(PCCCR) との交流プログラム)。また、3年前にハーバード大学、昨年がハーバード大学とイェール大学、今年はオックスフォード大学に合格者を出した。キャリア教育では、30歳前後の活きのいい先輩を呼んで話をしてもらっているが、11人中6人が女子。女子が、在校中も卒業後も、男子に負けず臆せず活躍している。

森上:今日お集りの学校の入試について言えば、豊島岡さんが3年後には高校での募集をお止めになると。それに代わる女子の受験先として、元気な女子の多い大野先生のところが注目されるようになるとも予想されている。今日は先生方、お忙しい中、ありがとうございました。

 

京都大学総長

山極 壽一 先生

1975年3月 京都大学理学部卒業
1977年3月 京都大学大学院理学研究科修士課程修了
1980年3月 京都大学大学院理学研究科博士後期課程研究指導認定
1980年5月 京都大学大学院理学研究科博士後期課程退学
1980年6月1日 日本学術振興会奨励研究員
1982年4月1日 京都大学研修員
1983年1月16日 財団法人日本モンキーセンターリサーチフェロー
1988年7月1日 京都大学霊長類研究所助手
1998年1月1日 京都大学大学院理学研究科助教授
2002年7月16日 京都大学大学院理学研究科教授
2009年4月1日 京都大学教育研究評議会評議員(2011年3月31日まで)
2011年4月1日 京都大学大学院理学研究科長・理学部長(2013年3月31日まで)
2012年4月1日 京都大学経営協議会委員(2013年3月31日まで)
2014年10月1日 から現職
東京都立国立高等学校出身

 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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