難関私大の志願者数は減少、合格者数は?

今年の私大入試は、受験生の手堅い受験動向により、志願者数は難関大学を中心に概ね10%程度の減少となりそうです。特にここ数年、難関大学の併願校として、倍率、入試難易度が上がった大学は、入試方式によっては志願者数が半減しているケースも見られます。こうした志願者減少傾向の中で合格者数も減るのでしょうか。

一般的には、志願者数が増えれば合格者数も増加します。他大学との併願者数の増加が見込まれるため、合格しても併願大学に合格して、入学手続きを取らない受験者が多いと想定されるためです。その逆に、志願者数が減少した場合は他大学との併願者数が減少していると考えられるため、入学手続き率が向上すると見込んで合格者数も減少します。ただし、こうしたパターンに当てはまらない場合もあります。例えば、推薦入試など年内の入試で予定よりも多くの入学者数を得ている場合は、一般入試の志願者数が増えても、入学定員超過率を考えて、合格者数を増やせません。各大学の推薦入試等ですでに入学手続きを終えている人数は、この時期には公表されていないため、残念ながら受験生からは状況が分かりません。この他に前年の入学者数が予定よりも多かった場合などは、数年かけて調整しなくてはなりません。前述の「過去4年間の平均入学定員超過率」に該当するケースです。

こうして見ていくと、結局どうなるのか、事情が異なる個々の大学の行動が連鎖して動いていくため、予想が非常に難しい事が分かります。ただ、私大全体の合格者数で考えれば、ここ数年かけて入学定員超過率はかなり低下しています。特に全体動向に影響力のある大規模私大での低下は顕著です<図「平成31(2019)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向(規模別の動向)」日本私立学校振興・共済事業団資料より>。そのため、志願者数が減少していますが、それに比例して合格者数が減少することはなさそうです。全体として見れば昨年並みの合格者数に落ち着くのではないでしょうか。そのため、倍率は低下するでしょう。

平成31(2019)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向(規模別の動向)

<図「平成31(2019)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向(規模別の動向)」日本私立学校振興・共済事業団資料より>

 

昨年高倍率の大学の後期入試は倍率が下がる

前述のように私大全体の合格者数は昨年並と考えられますが、増える可能性がある募集区分があります。それは2月後半から3月にかけて行われる入試です。ここでは後期入試と表記しますが、大学入試センター試験を利用した方式も加えれば、後期入試を実施する大学は非常に多くあります。

例えば、國學院大、駒澤大、成蹊大、成城大、専修大、中央大、東洋大、日本大、武蔵大、明治大、明治学院大、愛知大、中京大、南山大、名城大、京都産業大、立命館大、龍谷大、関西大、近畿大、関西学院大、甲南大、広島修道大、松山大、西南学院大などのメジャーな総合大に加え、女子大でも昭和女子大、津田塾大、東京女子大、日本女子大、フェリス女学院大、金城学院大、同志社女子大など錚々たる大学で後期入試が実施されます。昨年もこの後期入試の合格者数は増加していますので、今年もその傾向は続くと考えられます。その時、注目したいのは昨年の倍率です。

後期入試は、入試難易度(いわゆる偏差値)が設定されない場合が多いため、受験生にとって過去の倍率しか難易度の目安になる情報がありません。そのため、前年の倍率に影響されるケースが多く見られます。結果として倍率が年度によってアップダウンする隔年減少が起きやすいのが特徴です。昨年20倍で今年は2倍、などという事例は多く見られます。こうしたことから、昨年高倍率で入学定員規模が多い大学で意外に与し易い募集区分が出る可能性があります。入学定員規模が小さな大学の場合は、前述のように推薦入試ですでに十分な入学者があり、合格者を多く出せない事も考えられます。

2月中旬を過ぎると、私大入試で思うような結果が得られていない受験生もいることでしょう。その場合、まだ出願できる大学があるかどうか、調べてみる価値はありそうです。

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神戸 悟(教育ジャーナリスト)

教育ジャーナリスト/株式会社KEIアドバンス コンサルティング部 部員
/大学入試ライター・リサーチャー
1985年、河合塾入職後、20年以上にわたり、大学入試情報の収集・発信業務に従事、月刊誌「Guideline」の編集も担当。
2007年に河合塾を退職後、都内大学で合否判定や入試制度設計などの入試業務に従事し、学生募集広報業務も担当。
2015年に大学を退職後、朝日新聞出版「大学ランキング」、河合塾「Guideline」などでライター、エディターを務め、日本経済新聞、毎日新聞系の媒体などにも寄稿。その後、国立研究開発法人を経て、2016年より大学の様々な課題を支援するコンサルティングを行っている。KEIアドバンスは河合塾グループのため、膨大な入試データを活用したシミュレーションや市場動向調査が可能なこともあり、将来構想・中期計画策定、新学部設置、入試制度設計の支援など設置者を問わず多様な依頼が日々多く寄せられる。
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