年内入試は面接試験を行わず書類選考とする
②総合型選抜、学校推薦型選抜は書類選考に
総合型選抜と学校推薦型選抜の募集時期を遅らせることが検討されていますが、今年度については、面接試験や適性試験を実施しないで、書類選考で行うことで、接触機会を減らし、また地域間の移動も無くすことができます。テレビ会議システムの使用も考えられますが、受験者数が多くなると、面接スケジュールの作成・告知のほかに、当日、面接時間が延びた場合の調整や通信トラブルが複数発生した場合などを勘案すると、実施本部のオペレーション負荷が大き過ぎます。
適性試験を出題している大学の場合、代わりに提出課題を課したり、小論文を課したりするなどの選抜方法の一部を変更する必要が出てきます。その際には、例えば、複数のデータや資料を組み合わせた課題設定やアドミッション・ポリシーと受験生の活動歴や経験等を関連付ける小論文課題などを課すことで、思考力・判断力・表現力を確かめる方法も考えられます。こうした方法では、課題作成を代行する者が介在することも有り得ますが、入試要項に具体的な不正行為を明記したり、あるいは様式が変更されて情報量が増えた調査書を活用するなどして、完璧ではないものの、不正行為の抑止と公正性の担保につなげられます。
なお、ここ数年、国公立大学では、一般選抜でも志望理由書などを課す大学も増えています。こうした書類の審査については、長崎大学の「ペーパーインタビュー」や佐賀大学がWEBを利用して受験生の活動歴を評価する「特色加点制度」なども参考になるのではないでしょうか。
長崎大学
http://www.nagasaki-u.ac.jp/nyugaku/admission/topics/pdf/R01/PaperInterviewSample.pdf
佐賀大学
http://www.sao.saga-u.ac.jp/admission_center/reform/additional/
一般選抜は密集を避けることに加えて、試験監督者の防護も周到に
③試験室の受験者数を減らして入退出の動線を分ける
一般選抜では、試験室内の受験者間の距離を一定程度確保することが必要になります。試験室の試験定員をこれまでよりも減らす必要があるため、試験室数は増えます。試験室数が増えると試験監督者数も増やさなくてはなりません。
さらに、当初予定していた試験監督者が病欠した場合に備えて、試験監督者のバックアップ監督者も例年より多く手配しておく必要があります。これに加えて、別室で受験させる受験生が例年よりも多くなる可能性もあります(これらを考えていくと、試験監督者が何人いても足りないような気持ちになりますが)。
このほか、密集対策には試験室への入退場の際に、受験番号で入室、退室時間を分けたり、試験場の出入り口を分けたりするなど、動線も分けることを考えた方が良いでしょう。本学会場であれば、受験番号帯で入退場する門を分けたり、試験室のある建物自体を分けたりすることでも密集回避になります。また、4月入学を前提に一般選抜が実施されれば、実施時期が冬となるため、密閉対策として空気清浄機が用意できればより受験生にとっては有り難い環境です。
最後に、もうひとつ大切なことは試験監督者の防護です。消毒用アルコール、マスク、手袋に加え、フェイスシールドなど、試験監督が安心して試験実施に取り組むツールを用意しておくことで、平穏な試験実施が可能となり、結果として受験生も安心して受験ができることになります。フェイスシールドなどは入手が困難になっていますが、大阪大学が3Dプリンターを利用して制作する方法を以下で公開しています。
かつて、受験生に「受験は団体戦だ」とおっしゃった方がいましたが、入試実施も各大学の叡智を集めることで、受験生が安心して受験できる環境の整備が実現できるでしょう。
大阪大学大学院医学系研究科
http://www.project-engine.org/faceshield.html