私立大志願者数は2007年以降で初めての前年割れ、合格者数は増加で倍率は低下
私立大全体の入試結果集計を見ると、志願者数は前年よりも減少しています。出願が始まった時期には、都市部の難関大の志願者数減少が話題になりましたが、全体集計を見てみると当初の予想よりも減少幅は小さくなりました(前年比97%)。それでも延べ志願者数にして10万人以上の減少ですので、影響としては小さくはありません。志願者数の減少傾向に対して、全体の合格者数は7万人以上増加していますので、私立大全体の倍率は低下しています。
地域別に入試結果を見ると、「首都圏」、「近畿」、「四国」の各地区では志願者数が前年割れとなっていますが、それ以外の地域では全て前年よりも増えています。「東海」地区は微増ですが、「北陸」、「中国」地区では前年比で10%以上の増加率となっています。これらの地区では地元の私立大への進学を希望した受験生が多かったものと考えられます。そのため、私立大全体の志願者数が減少しているのは、主に首都圏や近畿圏の都市部私立大の志願者数減少が影響していると言えます。首都圏、近畿圏では合格者数が2万人~3万人以上も増えていますので、地区全体の倍率も低下しています。こうしたことから2016年頃から始まった定員管理の厳格化による、合格者数の減少・倍率アップ・入試難易度アップの傾向がほぼ収まりつつあると考えて良いでしょう。
この他、学部系統別の集計を見ると、志願者数の減少率が大きい学系は「社会・国際」、「法・政治」、「歯、薬」、「総合・環境・人間・情報」となっています。なお、これらの学系ほどの減少率ではありませんが、「生活科学」は志願者数の減少傾向が続いており、全体の倍率も2.4倍まで低下しています。当該系統はほぼ女子大で占められていますので、学生募集の中心的役割は学校推薦型選抜であるとは言えども、一般選抜での落ち込みは気になるところです。一方で「理」、「工」、「農」、「医療技術」、「芸術・スポーツ科学」は前年よりも志願者数が増加しています。下線の学部系統は、国公立大の傾向と一致する学系ですので、受験生全体の動きや志向を表していると言えます。
私立大入試結果
https://www.keinet.ne.jp/exam/past/pdf/20s_zentai.pdf
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