各大学が科目を予告する期限は2022年9月、従来は年度末が期限だった

受験生にとって重要なことは、志望する大学がどのような入試科目を課すのかということです。大学入試には“2年前予告ルール”があり、各大学は受験該当学年の生徒が高校2年生になる前までに、入試に必要な教科・科目を公表することになっています。ただ、各大学としては共通テストの概要などが決まらなければ、少なくとも共通テストを利用した入試方式の教科・科目は決められません。現在のところ、文部科学省は2021年夏頃に共通テストの大綱と入学者選抜実施要項を公表する予定です<図表3>。
こうした文部科学省による通知等を受けてから、各大学は自大学の入試制度や入試教科・科目を決めることになります。現段階でも、すでに入試担当者が情報収集を始めている大学も一部には見られますが、組織的に検討を進めている大学はまだないと言って良いでしょう。特に私立大学の場合は、併願者が多い他大学の入試科目を見てから、自大学の科目等を決めたいと考えていますので、公表時期が遅くなりがちです。ただし、前述のように2年前ルールがありますので、公表の期限は決まっています。ところで、この期限ですが、従来は公表年度の「年度中」とされていました。つまり、3月末までに決定して公表すれば良かったのですが、文部科学省の資料<図表3>を見ると2022年9月頃と読み取れます。高校1年生が2年生からの選択科目を決めるためには、年度末ではなく、この方が有り難いのですが、多くの大学は今のところ従来のように年度中に決定・公表すれば良いと考えているでしょう。今のところ、2021年度高大接続元年入試の準備や新型コロナウイルス感染症対策のため、とても2025年度入試のことを考える余裕はないと思われますが、改訂後の学習指導要領やその解説は文部科学省のHPで公表されています。できるだけ早く検討を開始して早めに公表をして欲しいところです。

その他の注目点は、英語4技能評価、英語問題の作問、理科・地歴の記述問題

共通テストに話を戻すと、科目構成以外でもいくつか注目されるポイントがあります。まずは英語4技能評価の問題です。2021年度入試では英語の資格・検定試験の成績提供システムの実施が見送られ、共通テストでの英検等の民間試験の導入が見送られました。再びこのシステムを導入する時期として、新課程入試は目標としやすい年度です。そのため、2025年度入試の共通テストで民間試験を活用し、英語4技能評価を行う可能性は捨てきれません。
その英語4技能評価と関係しますが、文部科学省は当初、共通テストの英語試験は2023年度までは継続して実施し、それ以降は実施しないとしていました。高校、大学の関係者からは、大学入試センターによる作問・出題の継続を望む声が多いのですが、今の段階では廃止か継続か明確になってはいません。ただ、行政側が一度「作問しない」と発表した後、それを否定していない以上は施策としての「作問しない」は継続していることになります。昨年末に英語4技能評価と数学・国語の記述問題を見送ることを大臣が発表したように、然るべき時期に政策変更の措置をとるのか、あるいは来年夏頃に公表予定の入学者選抜実施要項で、英語4技能評価に全く触れないで自然消滅の形をとるのか、注目されるところです。
そして、大きな混乱を招いた記述問題の導入も再び目指すとすれば、やはり新課程入試の初年度が目標となるでしょう。当初の予定では数学、国語に加えて地理歴史・公民、理科にも記述問題を導入するとされていました。実現可能性はかなり低いと見られていますが、総合型選抜や学校推薦型選抜でのオンライン面接の急拡大などのように、突然、ゲームチェンジが起こるかも知れません。
まだ先のことのように考えられている2025年度入試ですが、共通テストの教科・科目の検討は着々と進んでいます。大学・高校双方の入試の現場では、目の前の2021年度入試を無事に乗り切ることができるかどうかが当面の大きな課題ですが、来年の夏頃には2025年度入試の概要が見えてきます。そこから新課程入試が動き始めることになります。

 

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神戸 悟(教育ジャーナリスト)

神戸 悟(教育ジャーナリスト)

教育ジャーナリスト/株式会社KEIアドバンス コンサルティング部 部員
/大学入試ライター・リサーチャー
1985年、河合塾入職後、20年以上にわたり、大学入試情報の収集・発信業務に従事、月刊誌「Guideline」の編集も担当。
2007年に河合塾を退職後、都内大学で合否判定や入試制度設計などの入試業務に従事し、学生募集広報業務も担当。
2015年に大学を退職後、朝日新聞出版「大学ランキング」、河合塾「Guideline」などでライター、エディターを務め、日本経済新聞、毎日新聞系の媒体などにも寄稿。その後、国立研究開発法人を経て、2016年より大学の様々な課題を支援するコンサルティングを行っている。KEIアドバンスは河合塾グループのため、膨大な入試データを活用したシミュレーションや市場動向調査が可能なこともあり、将来構想・中期計画策定、新学部設置、入試制度設計の支援など設置者を問わず多様な依頼が日々多く寄せられる。
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