WEB記者会見開催 設立の思いを語る

 11月12日には、開学にあたってオンライン記者会見が開催された。第一部はmanagara学長・星野三喜夫氏、ウィザス代表取締役社長・生駒富男氏、managara設立プロジェクトリーダーの阿野孝氏が登壇した。星野学長は「地域社会を支える人材、起業を目指す人材など、幅広く社会に貢献できる人材を育てたい。時間、空間、経済の制約をなくした新しい学びを、最新のテクノロジーで提供していく」、生駒氏は「2005年に通信制の高校を開校したとき、学びの自由度を増すことで意欲的になれる生徒がいることがわかった。今回はそれを大学という舞台で提供していきたい。関係者と2年間議論を進めてきていて、内容の濃い教育を提供できると思う」と抱負を語った。阿野氏からは、managaraの詳細が説明された。

設置認可の報告をする managara学長・星野三喜夫氏とウィザス代表取締役社長・生駒富男氏。オンライン記者会見にて。

 
 第二部はトークセッションとして、映画”ビリギャル”のモデルになった小林さやか氏、Dream Project School代表の山本秀樹氏、一部に引き続いて阿野氏が登壇し、オンライン教育の可能性について語った。山本氏は講師として、managaraで講義を担当する予定だ。各氏の発言は次の通り。

 小林氏:「公立中学校で『大人になるのが楽しみか』というアンケートをとったら、『はい』『いいえ』が半々でした。『はい』の理由は勉強をしなくてもいいから、『いいえ』は大人は大変そうだから。どちらの答えもネガティブで、これは大変な事だと感じました。勉強って基本みんなが嫌いで、義務教育を卒業する子どもたちの8割が、勉強嫌いなまま卒業するというデータもあります。でも大人になると、みんな子どもに「勉強しなさい」と言い出す。目標が明確になると、学びの必要性が感じられるからだと思います。

 今はどちらかとういうと、勉強は大学に入ることが目的で、受験やテストに重きが置かれている。自分のためという意識が持てません。生徒や学生に言いたいのは、勉強は苦行じゃないということ。目標が明確になると、学びは楽しくなります。私は最終学歴じゃなくて、最終学習歴という言葉が大好きです。学習歴なら何歳になっても更新できる。そういう意味では、managaraのような学び続けるプラットホームができることは、義務教育のあり方すら変えるくらいの大きなパワーになるのではないかと思います」

 山本氏:「学びが生まれるのは、インプットではなくアウトプットの瞬間です。今の日本では、社会人になって学び直す人はほとんどいません。海外では、社会に出てから一定の年数が経つと、学び直したいという意志を持って大学に戻ってくることがよくある。小林さんの言うとおり、どこにいても、何をしていても学べるという環境が整っていれば、新たな学び方のスタイルを後押しするかもしれない。

 日本の教育には、柔軟性がないと思う。いろいろな考えを持った人がいるのに、こと教育に関しては偏差値による序列が浸透していて、そこからこぼれた生徒は『自分はダメだ』と自信をなくする。教育方法にも工夫がなく、海外の先進事例を見ても『すばらしいですね。でも本校では無理』というスタンスです。それが今、ようやく是正され、柔軟性が生まれつつあるように感じます。オンライン授業の広がりは、ローコストキャリアエアラインが登場したときと似ています。飛行機は自分には関係ないと思っていた人たちが、格安料金で長距離移動できるようになった。その結果、様々な波及効果が生まれて、新しいビジネスも誕生しました。

 教育機関であるとともに研究機関でもある大学では、現在使われているオンラインのツールを、使いこなすだけではなく発展させていく機運が生まれている。managaraの誕生は実にタイムリーで、今後の展開か楽しみですし、一教員として身が引き締まる思いです」

阿野氏:「山本氏から柔軟性という言葉をいただきましたが、世界中どこにいても学べる等、オンライン教育には柔軟性があります 日本の社会人は本当に忙しいから、スクーリングがないことは、学び直しの垣根を低くすることにつながると思います。もちろんメリットのある高校生も多いと思います。経済・経営を学ぶ事は、将来絶対プラスになります。各自のライフスタイルにあった学びを提供するとともに、学びたいのに学べなかった人にも門戸を開くことができればとても素敵だと思います。

 今後は、たとえば日本中を旅して各地で貢献活動しながら・・・、あるいは海外にいながら・・・、さらに外国人の方には自国にいながら・・・、学べるように、様々なサービス団体とアライアンスも組んでいきたい。2021年の開設が待ち遠しいです」

 第三部はデジタルハリウッド大学大学院教授の佐藤昌弘氏、TURNSプロデューサーの堀口正裕氏、ブルボンウォーターポロクラブ柏崎 総監督の青栁勧氏、ユーチューバーの葉一氏からの応援メッセージが紹介された。

 managaraがどのように発展し日本の学びを変えていくのか、期待が高まっている。
 

■ネットの大学「managara」(2021年4月開設)
https://managara.nsu.ac.jp/
 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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